マンションの固定資産税っていくらなの?簡単計算法

[ライフプラン]

中古マンションを購入するとかかってくる「固定資産税」。税額はいくらなの?どうやって税額を計算するの?と疑問に思うポイントはたくさんありますよね。そこでこの記事では「そもそも固定資産税ってなに?」というところから分かりやすく説明。あわせて都市計画税についても解説しています。

そもそも固定資産税って何?

〇固定資産税は、土地や家屋にかかる税金

固定資産税とは、家や土地などの「固定資産」と呼ばれるものの所有者に課される税金(市町村税)のことです。固定資産には以下のようなものが含まれます。

固定資産とは、土地、家屋、償却資産を総称したもので、次のものをいいます。

 

〔土地〕 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)

〔家屋〕 住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物

〔償却資産〕 構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法又は所得税法上、減価償却の対象となるべき資産。ただし、自動車税、軽自動車税の課税対象となるものは除く。

 

引用:東京都主税局 固定資産税・都市計画税の概要

〇固定資産税の税額はいくら?

固定資産税の税率は、固定資産の種類に関わらず1.4%です。税額は、原則として以下の計算式で求められます。

固定資産税=固定資産税課税標準額×1.4%

■固定資産税課税標準額とは

課税標準額とは、「税額を計算するための」価額のことです。固定資産税課税標準額とは、固定資産税の税額を計算するための課税標準額となります。

■固定資産税課税標準額はいくら?

・建物の場合
建物の場合、固定資産税課税標準額と固定資産税評価額は基本的に同じ額となります。
固定資産税評価額について、詳しくは以下の【固定資産税評価額とは?】をご覧ください。

・土地の場合
土地の場合は、固定資産税課税標準額と土地の固定資産税評価額は基本的に一致しません。固定資産税の減税のために課税標準額を圧縮する措置があったり、固定資産税評価額が急激に上昇したときに納税者の負担を減らすために負担調整が行われたりするためです。
固定資産税の減税措置については、以下の【固定資産税の減税措置】で詳しく説明しています。参考にしてみてください。

 

マンションの固定資産税、相場ってあるものなの?

〇固定資産税に相場はない

固定資産税は、土地や家屋の評価額によって決定します。そのため、どのような物件を所有しているかによって固定資産税は変化します。

そのため固定資産税に「相場」というものはなく、納税額も所有している物件によって異なるのです。

 

固定資産税評価額とは?

固定資産税評価額とは、固定資産評価基準に基づいて評価された固定資産の価額です。課税台帳に記載されています。

固定資産税評価額は、3年に1度評価額の見直しが行われます。これは「評価替え」と呼ばれています。

土地の固定資産税評価額は、路線価(税務署が定める道路についた値段)の見直しなどにともなって変動します。
家屋の固定資産税評価額は、経年劣化による建物の老朽化によって基本的に下がっていきます。

〇大規模リフォーム・リノベーションで評価額が上がる!?

家屋の固定資産税評価額は基本的に築年数とともに下がっていきますが、大規模なリフォーム・リノベーションを行うことで上昇する可能性もあります。

■一般的なリフォームでは上がらない

一般的なリフォームであれば、固定資産税評価額が上がることはまずありません。

固定資産税評価額が上がるにはリフォームの際に「建築確認申請」を出す必要があり、これを提出していなければ固定資産税評価額は上がらないからです。

■固定資産税評価額が上がるリフォームとは?

以下のようなリフォームを行ったときには、固定資産税評価額が上がることがあります。

①柱や梁など、建物の躯体の主要部分に手を加えるようなスケルトンリフォーム

②増築など、床面積が増えるリフォーム(主に一戸建ての場合)

③物件の用途を、居住用(住居)から事務所用や店舗用へ変更するリフォーム

リフォームによって固定資産税評価額が上がるかどうか不安な場合には、リフォームの施工会社などに聞いてみるようにしてください。

 

購入予定のマンションの固定資産税額を調べるには

〇まずは地域ごとの税率をチェック

固定資産税の税率は全国一律で1.4%です。ただし、市町村の判断により、財政上とくに必要あるとされたときには1.4%を上回った税率となることがあります。まずはお住まいの地域の税率を確認しましょう。

〇新築マンションの固定資産税の確認

固定資産税の金額は固定資産税評価額によって決まりますが、この固定資産税評価額は物件の登記が行われてから決定します。そのため、マンションが完成前の場合は固定資産税評価額が分からず、正確な固定資産税の金額も分かりません。

正確な金額は分かりませんが、新築マンションの販売をしている不動産会社に訪ねればおおよその目安は教えてもらえます。気になる場合は不動産会社にたずねてみてください。

〇中古マンションの固定資産税の確認

■物件情報に前年度の固定資産税額が書いてあることも

中古マンションの場合は、今までに課税されてきた固定資産税の金額を調べることで今後の納税額の目安をつかむことができます。

不動産会社から渡される物件の情報を見ると、「前年の固定資産税」という項目がある場合があります。記載があればここを参考にしましょう。

■分からない場合は不動産会社に聞いてみよう

記載がない場合は不動産会社に訪ねてみてください。前所有者が昨年に納めていた固定資産税の金額を調べてもらえます。

固定資産税評価額は3年に1度変更される可能性があるため、前年の固定資産税と同額の徴収があるとは限りません。しかし1~2年で大きく変更することはあまりないため、金額の目安をつかむことができます。

固定資産税の計算方法

では実際に、固定資産税を計算してみましょう。

建物の評価額1000万円、土地の評価額2000万円、持分の土地の面積が80㎡のマンション(3階建て以上・耐火建築物)を想定して、計算します。

〇住戸が新築の場合

マンションが新築の場合の、建てられた年の固定資産税を見ていきましょう。

■土地:2000万円×1.4%×1/6=46,666円

住居用の土地であれば、1住戸につき200㎡までは、減税措置により固定資産税税の価格が1/6になります。
土地にかかる固定資産税の減税措置について、詳しくは【固定資産税の減税措置について】をご覧ください。

■建物:1000万円×1.4%×1/2=70,000円

新築の住宅のうち、床面積が50平米以上280㎡以下であれば、減税措置により固定資産税の価格が当初3年は1/2になります。今回は3階建て以上の耐火建築物を想定しているので、この減税措置は5年間適用されます。
新築住戸の固定資産税の減税措置について、詳しくは【固定資産税の減税措置について】をご覧ください。

46,666円+70,000円で、このときの固定資産税は116,666円となります。

〇住戸が新築ではない場合

3階建て以上・耐火建築物であれば、新築住戸の減税措置は築後5年間です。

そのため、築6年以降の物件であれば固定資産税は以下のようになります。

■土地:2000万円×1.4%×1/6=46,666円

土地にかかる固定資産税に、築年数は関係しません。固定資産税は新築マンションと同額になります。

■建物:1000万円×1.4%=140,000円

減税措置が適用されないため、固定資産税評価額に税率1.4%をかけた金額が固定資産税となります。

46,666円+140,000円で、固定資産税は186,666円となります。

〇経年減価補正率について

建物は老朽化にともなって固定資産税評価額が下がっていきますが、どのくらい下がっていくかの目安は、東京都の発表している「経年減価補正率」を見ることで分かります。

経年原価補正率の表

参考:東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表 経年減価補正率表 非木造建物減価補正率

新築時の固定資産税評価額からその後の固定資産税を計算する場合、
 “新築時の固定資産税評価額×築年数に応じた経年減価補正率×1.4%”
でその年の固定資産税の金額の目安をみることができます。

ただし、建物の固定資産税は物価の上昇などによって変動することがあります。上記の式で出る金額はあくまで目安としてください。

また、課税明細書(詳しくは以下の「課税明細書のみかた」をご覧ください)などに記載されている建物の評価額は、経年減価補正率が加味された数値となっています。

 

固定資産税の減税措置について

固定資産税にはさまざまな減税措置が設けられています。詳しく見ていきましょう。

〇土地のための減税措置

土地が住居用地と認められる場合には、住宅用地の特例措置が取られます。

住宅用地とは

賦課期日(毎年1月1日)現在、次のいずれかに該当するものをいいます。

(1)専用住宅(専ら人の居住の用に供する家屋)の敷地の用に供されている土地で、その上に存在する家屋の総床面積の10倍までの土地

≪住宅用地の例≫

 住宅用家屋(専用住宅・アパート等)の敷地、住宅用家屋の敷地と一体となっている庭・自家用駐車場

 

引用:東京都主税局 住宅用地及びその特例措置について

軽減措置の内容は、住宅用地と認められる土地の面積によって異なります。以下の表をご覧ください。

固定資産税の住宅用地への減税についての表

参考:東京都主税局 住宅用地の特例措置

〇建物のための減税措置

■新築住戸の減税措置

新築住戸のうち、1住戸につき120㎡相当分までの部分は固定資産税が1/2になります。ただし、住戸の床面積が50㎡以上280㎡以下の場合です(賃貸の場合を除く)。

新築住戸に減税措置がとられる期間は、建物の構造によって以下のように異なります

  • 3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅→築後5年間
  • 上記以外→築後3年間

■長期優良住宅の減税措置

平成32年(2020年)3月31日までに新築された場合は、税額が1/2になる期間が上記より長くなります。期間は以下の通りです。

  • マンション等→7年間
  • それ以外→5年間

 

都市計画税について

〇都市計画税とは

都市計画税とは、「市街化区域」とされる区域内に土地・建物を持っている人が納めるべき税金です。

+α 市街化区域とは?

すでに市街地を形成している区域か、今後10年以内に市街化される予定の区域を指します。その場所が市街化区域に該当するかどうかは、各市町村が提供しているデータを参考にするか、市役所・区役所に訪ねてみると分かります。

〇都市計画税の税率と金額

■税率は最高で0.3%

都市計画税の税率は、最高で0.3%です。固定資産税と同じようにこの税率は各市町村が決める権限を持っており、地域によって異なる場合があります。しかし、0.3%以上課税されることはありません。

■都市計画税の金額

都市計画税の金額は、固定資産税と同様に固定資産評価額×0.3%(最大)で決定されます。

建物の評価額1000万円、土地の評価額2000万円の不動産を所有していた場合は以下のようになります。

土地:2000万円×0.3%=60,000円
建物:1000万円×0.3%=30,000円

合計:90,000円

〇都市計画税の減税制度

固定資産税と同様、都市計画税にも減税制度があります。

減税制度があるのは土地にかかる都市計画税のみです。土地が住宅用地と認められた場合、以下の通り軽減措置がとられます。

都市計画税の住宅用地への減税の表

参考:東京都主税局 住宅用地の特例措置

そのため、上記の物件(建物の評価額1000万円、土地の評価額2000万円の不動産)を所有しており土地が住宅用地と認められた場合、固定資産税の税額は以下の通りです。

土地:2000万円×1/3×0.3%=20,000円
建物:1000万円×0.3%=30,000円

合計:50,000円

 

納税通知書のチェックポイント

固定資産税や都市計画税の課税のお知らせとして、各市町村より「納税通知書」が届きます。しかし、この納税通知書をあまり見ていないという方も多いのではないのでしょうか。

数字が多く難しく感じられる納税通知書ですが、届いたときにはよく確認しておくことをおすすめします。なぜなら、市町村の処理のミスにより過払いが発生していた事例があるためです。

参考:山陽新聞「岡山市が税金24年間過大徴収 マンション91戸総額200万円」

過払いを防ぐためには、納税通知書とともに「課税明細書」もチェックしておくと安心です。

〇課税明細書のみかた

東京都主税局・都税事務所が発行している「『平成31年度 固定資産税・都市計画税 課税明細書』の見方・税額算出方法」をもとに作成した、課税明細書のサンプルが以下になります。

土地の課税明細書のサンプル

※クリックで大きくなります

家屋の課税明細書のサンプル

※クリックで大きくなります

■過払いを防ぐためには、減税措置の適用をチェック!

過払いを防ぐためには、【摘要】欄をチェックしましょう。

軽減制度が適用されるべき物件を所有しているときに、この欄に軽減措置の内容が記載されています。

〇過払いの場合、最大5年間分が還付される

過払いしていた場合、最大5年間分が還付されます。固定資産税や都市計画税の課税について疑問点があれば、市町村へ問い合わせてみてください。

不動産の評価額に疑問がある場合は、固定試案評価委員会に審査の申し出をする必要があります。

また課税額に疑問がある場合は、市町村長または都知事に審査請求をすることになります。

 

固定資産税をしっかりと理解して、支出をはっきりさせよう

難しく感じられる都市計画税ですが、中古マンションなどの住宅を購入したあとは必ず付き合っていかなければならない税金です。制度を理解し、支出をはっきりさせておきましょう。

※この記事で参考にしている税率や減税制度などは、2019年3月現在のものです。

この記事を書いた人

編集部

RECOMMEND

ページトップへ