【鈴木謙司×和泉利明】時代遅れの不動産業界をWEBマーケティングで変える~ワッフルが目指す新しい不動産サービスのかたち

[ライフスタイル]

不動産会社を含むさまざまな企業のデジタルマーケティングを支援し昨年東証一部上場を果たした株式会社オーケストラホールディングスの取締役でもあり、株式会社デジタルアイデンティティの代表取締役社長:鈴木 謙司氏と、弊社代表取締役:和泉 利明が、『不動産業界のIT化』について語ります。対談の様子を動画にてご覧ください。

IT技術の進化により、さまざまな分野で日々新たなサービスが創造される今。しかし不動産業界は、他業界と比べIT化の歩みが遅く、時代に適応したサービスの提供が実現していません。

なぜ、不動産業界はIT化の波に乗り遅れているのか。そして、その流れを断ち切り今の時代に沿ったサービスを提供するためには、いったいどんな取り組みが必要なのでしょうか。

不動産業界が歩むべきその道筋について、不動産会社を含むさまざまな企業のデジタルマーケティングを支援し昨年東証一部上場を果たした株式会社オーケストラホールディングスの取締役でもあり、株式会社デジタルアイデンティティの代表取締役社長 鈴木謙司氏と、株式会社ワッフルの代表取締役 和泉利明が語り合います。


株式会社デジタルアイデンティティ
代表取締役社長
鈴木 謙司

目次

 

創業8年で上場。デジタルアイデンティティとは?

■レッドオーシャンのIT業界にあえて飛び込んだ

 鈴木  デジタルアイデンティティは2009年に創業したベンチャーです。2009年というのはデジタルマーケティングがもうかなり成熟していた時期で、いわゆるレッドオーシャンと言われる世界に飛びこんでいきました。
ですので、そこで勝ち残っていくには、「広告だけ」とか「サイト制作」だけというようなソリューションではなく、端から端まですべてを内省で支援しますというスタンスじゃないといけない。ということで、最初は運用型広告を中心に事業を始め、M&Aを活用しながらSEO、ソーシャルマーケティング、サイト制作、そして今ではシステム開発まで含めて手がけ、トータルでソリューションを提供できるようなデジタルマーケティング支援企業となりました。

■起業を決意させた父の死

 鈴木  私はもともと新卒でアビームコンサルティングという会社に入社しまして、システムエンジニアとして企業の基幹システムの開発に携わっていました。もともと経営者になりたいという夢を持って社会人スタートをしましたし、経営者に近いところで働けるということでコンサルティングファームを選んだわけですけど、実際には上層部とコンタクトするのが難しかった。それで転職を決意し、「藤田晋さんの近くで働ける」ということを聞いてサイバーエージェントに転職しました。
サイバーエージェントでは約7年、本当に全方位でやらせてもらっていたのですが、2011年に父親が亡くなりまして、それを機に「今だ」と。人生一度しかないのだから、自分で事業をやろう、ある意味今がチャンスだということで、サイバーエージェントを退職しました。創業自体は私の大学時代の先輩なのですが、そこにジョインする形で参画したという経緯です。

マーケティングの世界で起きている「3つの変化」

 和泉  最近、売り方やマーケティングについて多方面からいろんな話を聞くのですが、ITの世界ではいったいどのような変化が起きているのでしょうか。

 鈴木  大きくは3つ挙げられると思っています。1つめはソーシャルメディアの隆盛、2つめはスマートフォンの普及、3つめがパーソナライズ化です。

■購買行動をも変えたソーシャルメディアの隆盛

 鈴木  1つめの「ソーシャルメディアの隆盛」というのは、かつてはYahoo!やGoogleなどのポータルサイトあるいは検索サイトが主流だったのが、ここ10年ほどでFacebookやTwitterに変わってきたということ。限られた可処分時間のほとんどがソーシャルメディアに投下されるような時代になって、情報収集だけではなくて購買行動もソーシャルメディアで行われるようになったということが、大きな変化だと思います。

■5G時代の到来でスマートフォンがより身近に

 鈴木  2つめの「スマートフォンの普及」。これは私が説明するまでもないことですけれども、以前はスマートフォンで物を買うことのハードルが高かったのが、今ではその敷居が下がってきているということです。さらに、2020年にかけて5Gの時代が訪れると、今まで以上に通信速度が速くなります。それによって、垣根はさらに取り払われるだろうと思っています。

■マーケティングの概念を変えるパーソナライズ化

 鈴木  3つめの「パーソナライズ化」というのは、例えば和泉社長が「マンション」と検索した時と私が「マンション」と検索した時とでは検索結果が違ってくる、というようなことです。その人が過去にWEBで見たものによって、またGoogleが特定していれば性別や年齢といった情報によって、検索結果が変わってきます。メールマガジンなども、全員に一斉に同じメールが送られているように思われるかもしれませんが、実際には、一ヶ月前のメールマガジンを開封した人と開封していない人で次の月に送られるメールが変わったりします。

個人に合わせたマーケティングは、こんなふうにどんどん進化していますので、これまでのやり方では本当に必要な情報を届けることが難しくなってきているのかなと私は思っています。

不動産業界のIT化を阻む2つの問題点

■問題点①大手ポータルへの依存が不動産のIT化を鈍化させている!?

 和泉  不動産業界の問題点の最たる話は大手ポータルサイトによるネット集客の寡占化かなと僕は思っています。ある会社さんが始めた有料の紙媒体が、いつの間にかフリーペーパーになり、WEBになっていった。その後スマートフォンが普及して一気に加速していったわけですね。そうなると業者さんもどんどんポータルサイトに物件情報を掲載しはじめ、それに頼り、依存するようになった。今の不動産業界って、みんなポータルサイト会社さんとは切っても切り離せない関係になっているわけです。

このことが、不動産業界のIT化が鈍化した理由のひとつかなと思っていまして、このまま不動産業界が頼り続けているようだと、自分で自分の首を絞めるような形になっていくのではないかなと考えています。

 鈴木  我々は不動産業者様からご相談をいただくことも多いのですが、やはり「ポータルサイト依存からの脱却」というテーマをよくいただくので、和泉社長がおっしゃった課題はみなさんが感じてらっしゃるのかなと思いますね。

■問題点②営業—顧客間の「ブラックボックス」の闇が深すぎる

 和泉  最近、店舗の物件を探しに都内の地場の不動産屋さんへ行ったのですが、いわゆるマイソク図面ではなく、もっと古い時代の、文字だけのカードのようなものを出されたことがありまして、昔の不動産屋はこれでやっていたのかと驚きました。

これが今も続いているというのは、おそらく、情報を持っている者が強いからです。不動産の世界では、その情報が完全にブラックボックス化されていて、それがお金になっていく。顧客と営業の関係も完全にブラックボックスで、会社ですらわからない。しかし、不動産を購入される年齢層もどんどん下がってきていますので、部屋の中がWEB上で見られるなど、我々不動産業界が新たな価値を創造していかないといけないと思っています。

一言で言えば「付加価値が大事」ということかなと。以前、不動産のフリマアプリを作ろうかと考えたことがありました。というのは、不動産をオープンプラットフォーム化すれば、買い主さんと売り主さんが直接つながり、物件を見る・見ないだけでなく、「キッチンの寄りの写真をみたいです」とか、「お野菜はここのスーパーが安くて鮮度もいいですよ」といったメッセージのやり取りをしたり、あとは価格交渉とかもできるようになってくるのではないかなと思ったのです。

重要事項説明とか売買契約書とか、そういった契約ごとに関しては不動産会社が介入しなくちゃいけないかもしれませんが、我々が介入できる要素としてはすごく小さくなっていくような気がしますので、そうなると我々は今以上に自分たちの付加価値というものを追求していかなくちゃいけないと思っています。

ITによって不動産の問題点はこう解決できる!

 

■問題点①の解決のために:キュレーションサイトやオウンドメディアの導入で会社のファンを増やす

 鈴木  2つの問題点を聞かせていただきましたが、まず大手ポータルからの脱却について言うと、例えば物件を探す時、ポータルサイトで「○○駅、○万円」という条件でパッと出すと、数がめちゃめちゃ出てきますよね。その中から選ぶ難しさを、私も一消費者として強く感じています。そこで、例えば「不動産のプロが選ぶおすすめ物件」とか、いわゆるキュレーションサイト的なものを作って発信していくと、消費者にとって非常に価値の高いメディアになるのではないのかなと、個人的には思っています。

 和泉  アパレルで言うセレクトショップみたいな感じですかね。

 鈴木  はい、まさに。この物件を提供している会社、その会社が選んでくれた、提案してくれた物件であれば良い物件なんじゃないかと思えることが、消費者としては一番理想的なのかなと思っています。

今、デジタル上で取り組んでいるもの、広まってきているものとしては、オウンドメディアというものがあります。今までは、会社概要と社長のメッセージがあるぐらいの、いわゆるホームページがあれば充分とされてきたんですが、それだけではなかなか消費者に伝わらない。その物件に秘められた開発秘話とか、想いとか、その会社が大事にしているポリシーだとか、あとはライフスタイルに関するコンテンツ、情報みたいなものを定期的に出していくことで、その会社のファンになってもらう。そんな取り組みが隆盛してきています。そういったオウンドメディアを活用されることも非常に有効なのではないかと思います。

 和泉  やはり共感する、ファンを探すということが大事ですよね。

■問題点②の解決のために:営業活動のすべてを可視化するデジタルマーケティングの活用を

 鈴木  もうひとつ、ブラックボックスの話ですけど、我々が提供しているデジタルマーケティングでは、すべての行動、結果が可視化されますので、和泉社長がおっしゃられた課題というのは、かなり解決に近づくのではないかと思っています。

例えば、営業マンがどういう行動をしているかわからないというお話がありましたけれど、マーケティングをデジタル広告やSEOと呼ばれる手法に切り替えていくことで、どの物件に、いつ、どんな顧客から問い合わせがあったのか、あるいはどんな物件がどれくらい閲覧されているのか、といったことがすべてデータで可視化されていきますので、営業マンに依存することなくマーケティングが展開できるようになると思います。

ITが浸透しようとも、やはり「人」を大切にする会社でありたい

■丸投げではなくパートナーとしてマーケティングを共に考える

 和泉  弊社もすべてのwebサイト制作を外部にお願いしています。実はここ10年ぐらいで数社にお世話になっているんですよ。「反響取れますよ」と言われれば、本気でそれを信じてお金をかけてきたんですが、お問い合わせが全くなかったりしてよく悩んでいました。これは聞いた話なのですが、web会社からすると不動産会社は「カモ」のようで(笑)。

 鈴木  「カモ」ですか(笑)?そんなことはないと思いますけど(笑)。

 和泉  いろいろな業者さんがいるので何とも言えませんけどね。そもそも弊社に知識や技術のある人材がいるわけではないので、依頼の精度が低いことは事実です。ただ自前で部署を作るというのはすごく難しいので、信頼できるパートナーさんに依頼し、関係を築きながら一緒に仕事をしていくのがいいのかなとは思っています。

 鈴木  おっしゃる通りで、難しいのは、不動産業界にはまだまだITリテラシーが高くはない方も多くて、「何百万円でサイトを反響出るように作って!」みたいな丸投げでご依頼をいただくことが多いです。それだとやはりプロジェクトはうまくいかないのですよね。両社が一緒になって、パートナーシップを作ってマーケティングしていかないと、なかなかうまくはいかないですね。

 和泉  キュレーションの話で考えたら、やっぱり不動産業者としてもやらなきゃいけないことが山ほどある。そういったところも加味して一緒にやっていかなくてはいけないということですよね。

 鈴木  そうですね。我々は不動産のプロではないので、そこは逆に知見をいただきながらご一緒するのがいいのかなと思います。

■デジタルと人の両輪によってさらに大きな成果が生まれる

 鈴木  これからは、もっとAIが不動産業界に浸透していくと思っています。例えば、物件に対して問い合わせがあった時に、「2営業日以内に返信します」といった対応は今もけっこうあると思うのですけど、チャットボットが普及していけば、その瞬間に消費者の疑問やニーズを解決してくれる。あるいはVRが普及していけば、実際の物件の写真がない部屋であったとしても室内のイメージができるとか、そういうふうになっていくのではないかと思っていて、もしかすると営業の方とかの裁量というか、価値というものが減っていくのではないかなと、私は個人的に思っています。

 和泉  とはいえ、営業とお客様のつながりというものも僕は大事かなと思っていますし、今のお話をうかがっていると、むしろ今まで以上に営業マンの価値というのは非常に大事になるように思います。お客様からの質問に対してただアンサーするのではなく、人と人のつながりを大事にする必要があるかなと。デジタルソリューションと人。その両輪でこそ、成果に結びついていくのかなと思っています。

(構成・文 髙橋晃浩)

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