編集部
マンションの修繕積立金、相場はいくら?値上げは必要?
[不動産知識]
住宅ローンの支払いとともに毎月かかってくる「修繕積立金」。特に賃貸マンションから引っ越した方は「どうして払わなきゃいけないの?」と思われるかもしれません。しかし修繕積立金はマンションを維持する上でとても大切なお金。修繕積立金のことを宅地建物取引士監修のもと解説していきます。
目次
- 1.そもそも修繕積立金と管理費ってなに?
- 2.修繕積立金の相場・平均はいくらくらい?
- ・大規模修繕の周期と、修繕積立金の相場
- ・新築のほうが修繕積立金は安い
- 3.マンション購入前に確認しておきたい修繕積立金のこと
- ・マンション全体でいくらくらい貯まっているのか
- ・修繕積立金の滞納がないか
- ・修繕積立金以外でチェックしたいこと
- 4.積立金値上げ…必要なの?
- ・築年数の経過とともに値上がりするのは当然
- ・修繕積立金が不足していると…
- 5.修繕積立金が高いマンションは「意識の高いマンション」だといえる
そもそも修繕積立金と管理費ってなに?
マンションの寿命を延ばすために重要な「マンションの管理」。
マンションの管理には、日常的な保守作業と、数年に一度行われる大規模な修繕工事の2種類があります。 おおまかにまとめると、前者のためのお金が「管理費」であり、後者のためのお金が「修繕積立金」です。
◆管理費とは
居住者が共用で使っている部分の清掃や点検といった保守作業に充てられるお金です。
多くのマンションでは管理を「管理会社」に委託しているため、管理費は管理会社への支払に使われることが一般的です。
〇管理費の金額はどうして違うの?
マンションの総戸数が多いほど一戸当たりに定められる管理費は安くなります。
また管理すべき設備のグレードも管理費に関係します。グレードが高いほど管理にお金がかかるので、一戸当たりの管理費も高くなる傾向にあります。
◆修繕積立金とは
マンションの大規模修繕のための費用です。大規模修繕には大きなお金がかかるため、居住者で費用を出し合い長期的に積み立てる必要があります。
修繕積立金の相場・平均はいくらくらい?
◆大規模修繕の周期と、修繕積立金の相場
〇大規模修繕工事は「12年に一度」がひとつの目安
国土交通省が発表している「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」によると、大規模修繕工事の周期の目安は12年程度とされています。
12年に一度大規模修繕工事が行われると仮定して、修繕積立金の相場を見ていきましょう。
〇1か月あたり6,944~10,416円が一般的
一般的に、大規模修繕には1戸あたり100~150万円ほど必要とされています。
100~150万円÷144か月(12か月×12年)と計算すると、1か月あたり6,944~10,416円がおおよその相場と考えられます。
〇積立金の金額は総戸数などによって変わる
ただし、マンションによって修繕積立金の金額は変動します。
たとえば、総戸数が多いほど修繕積立金を負担する世帯が増えるので、一戸当たりの負担は軽くなります。そのほか築年数や共用設備のグレードなども積立金の額に関係します。
◆新築のほうが修繕積立金は安い
修繕積立金の金額を比べると、中古マンションより新築マンションのほうが安いことが多いでしょう。新築マンションは当然新しいため、大規模修繕の必要性があまりありません。そのため、積立金の額が安く設定されています。
しかし、最初は金額が安くても築年数の経過とともに値上がりするケースがほとんど。新築時の修繕積立金の安さだけで物件を選ぶことのないようにしましょう。
マンション購入前に確認しておきたい修繕積立金のこと
修繕積立金の状況を調べるとマンションの管理のことが見えてきます。マンションの購入前には修繕積立金のこともしっかりと確認しておきましょう。
◆マンション全体でいくらくらい貯まっているのか
現在、修繕積立金がいくら貯まっているのかを確認しておきましょう。修繕積立金の状況は不動産会社に聞けば調べてもらえます。
〇総戸数×100~150万円がひとつの目安
前述したように、修繕積立金は1戸あたり100~150万円ほどかかることが一般的です。
仮に総戸数が100戸のマンションであれば一度の大規模修繕に1~1.5億円必要となります。
上記はあくまで目安となる金額ですが、あまりにも修繕積立金の積立総額が少ないときには注意が必要です。
〇修繕履歴も一緒にチェックしよう
修繕積立金の額が少ない場合でも、ここ数年で大規模修繕をしていたのであればあまり心配する必要はないでしょう。修繕積立金の金額が少ないときには、あわせて修繕履歴も確認しておくと安心です。
◆修繕積立金の滞納がないか
修繕積立金を確認するときには、総額のほかにも「積立金の滞納が多くないか」というポイントも見ておきましょう。
〇滞納が多い=モラルのない人が多い、という可能性も
修繕積立金は、居住者であれば当然支払うべき費用。その滞納が多いということは「モラルのない居住者が多い」という可能性が考えられます。
モラルのない居住者が多いと費用が集まらないだけでなく、修繕のための話し合いがうまく進まないことも。近隣トラブルの原因となることもあるため、注意が必要です。
〇滞納金の支払が必要か、確認しておこう
購入するマンションの前所有者が修繕積立金を滞納している可能性もあります。
このような場合、不動産売買契約の前に「この滞納金は払う必要があるのか?」という点をきちんと確認しておきましょう。
◆修繕積立金以外でチェックしたいこと
修繕積立金以外にもマンションを選ぶポイントやコツがあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:【保存版】中古マンション購入、成功のコツ
積立金値上げ…必要なの?
マンションに住んでいると、自治会や管理組合から「修繕積立金を値上げする」という連絡がくることもあります。修繕積立金は毎月かかるランニングコストなので、「できれば安いままであってほしい」というのが本音ですよね。
◆築年数の経過とともに値上がりするのは当然
しかし、築年数の経過とともに修繕積立金が値上がりするのは当然のことなのです。
マンションは経年劣化とともに外壁や配管に痛みが生じます。これを放置しておくと雨漏りやガス漏れといったトラブルの原因に。また外壁のヒビから雨水が入り、マンションの躯体の金属がさびて脆くなることもあります。
◆修繕積立金が不足していると…
マンションの管理が十分に行われないと、物件の人気がなくなりだんだんと空室が増えてきます。すると、さらに管理のためのお金が足らなくなり、経年劣化が加速します。
こうなってしまうと、せっかく購入したマンションの資産価値も下落してしまいます。
将来のためにも修繕積立金や管理費はしっかりと支払っておきましょう。
修繕積立金が高いマンションは「意識の高いマンション」だといえる
住宅ローンの返済とともに毎月の固定費となる、管理費と修繕積立金。
「家計のために、少しでも安くしたい!」という気持ちはあると思いますが、修繕積立金や管理費をしっかりと支払うことが、永く安心してマンションに住むことにつながります。
マンションの管理の状況は資産価値にも直結するため、10年後20年後に売却を考えている場合にも軽視できないポイント。目の前の支払だけでなく、将来的な安心や価値にも目を向けてマンションを選んでいきましょう。