中古マンションの住宅ローン:審査の基準と落ちないコツ

[住宅ローン]

中古マンションを購入するときに多くの方が利用する「住宅ローン」。「審査に落ちたらどうしよう…」「リフォーム費用もローンで組めるのかな?」など不安や疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?この記事では、中古マンションの購入に関わる住宅ローンについて詳しく解説していきます。

中古マンションの住宅ローン審査ってなにを見られる?期間は?

◆住宅ローンの審査で見られること

住宅ローンの審査は、住宅ローンの借入を申し込んだ先の各金融機関(銀行)が行います。

では、審査のときに金融機関はなにを見ているのでしょうか?大きく分けて「借入する人の条件」「購入する物件の条件」の2つが見られています。

〇借入する人の条件

借入をする人、つまり住宅ローンを借入した際に月々の返済をしていく人の条件です。

・年齢

多くの金融機関では、住宅ローンを組める最長の年数を35年としています。そして、返済できる上限の年齢として80歳を想定していることが一般的です。
そのため、最長の住宅ローンを組める年齢は80歳-35年=45歳が上限となります。45歳を上回っていた場合、ローンを組める年数が短くなり、その分月々の支払額も大きくなるため審査が厳しくなっていきます。

・収入

収入からローンを返済していく以上、収入の額は審査に大きく関わります。収入に占めるローンの返済額が大きくなればなるほど、返済にかかる負担が大きくなるとして審査が厳しくなっていきます。
また金融機関によっては「〇〇万円以上の年収がないと審査の対象とならない」というように、年収に下限を設けていることもあります。

・他の借入

住宅ローン以外の借入も審査に関わります。消費者金融からの借入やキャッシング、カーローン、アクセサリー・ブランド品の分割支払いなどが審査の際に確認されます。
「他に借入があると必ずローンに通らない」ということはありませんが、住宅ローンの返済とそれ以外の返済を合わせた総合的な返済額が見られるため、審査が厳しくなるケースがあります。

・個人信用情報機関への記録

クレジットカードの利用やキャッシングの履歴、携帯電話代の支払い履歴などは個人信用情報機関(信用情報)に記録されていることがほとんどです。
過去にクレジットカードの支払いを滞納したことがあったり、携帯電話代の未払いや滞納があった場合、個人信用情報機関に記録が残っており金融機関に「支払いについて信用ができない」と判断されてしまうことがあります。

・配偶者の有無

住宅ローンの借入をする人が夫・妻のどちらか1人であっても、配偶者の有無は審査の際にチェックされます。
一般的には配偶者がいる方が審査には通りやすくなります。単身の方だと、金融機関は「すぐに住み替えるのでは?投資用に購入するのでは?」と見る傾向にあるためです。

・貯金額

物件を購入するときに貯金から頭金を多く出すことで、「計画的に貯蓄ができる人=計画的に返済ができる人」とみなされ審査に通りやすくなるケースもあります。

〇物件の条件

金融機関は購入する物件を担保として住宅ローンを貸すため、購入する物件(担保となる物件)に住宅ローンの金額分の価値があるかどうかをチェックします。
物件の価値を決めるのは以下のようなポイントです。

・築年数

マンションの価値は築年数の経過とともに下落するため、築年数が経過している古い建物ほど「物件の価値が低い」と判断されます。

中古マンションと築年数の関係について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:中古マンションと築年数の関係。ベストな購入のタイミングとは?
関連記事「中古マンションと築年数の関係」へのリンク

・新耐震基準への適合

築年数とともに大きな基準になるのが、新耐震基準への適合です。特に近年は新耐震基準適合への有無が審査に大きく関わっており、この傾向は今後さらに強くなるだろうと予想されています。

現行の耐震基準(新耐震基準)について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連リンク:中古マンションの耐震ってどうなの?見分け方と選び方
関連記事「新耐震基準について」へのリンク

・建物の管理状況

中古マンションの寿命は、適切な管理を行えるかどうかによって変わってきます。大規模修繕などの適切な管理がされていないと経年劣化が早く進み資産価値も下がるため、管理体制が整っているかどうかも審査の際には重視されます。
管理体制は、管理会社の有無や先々の修繕計画、物件の総戸数などによって判断されます。「総戸数の少ない物件はローンに通りにくい」と言われるのはこのためです。

〇単身者は住宅ローンの審査に通りにくい!?

近年、単身の方が住宅を購入しようとした際に住宅ローンの審査が厳しくなるケースが増えています。

これは、単身者の方が多く買うような50㎡以下の物件に対して、金融機関が担保価格を低く設定しているため。そのため、単身の方はより住宅ローンの審査が厳しくなっています。

◆住宅ローンの審査に落ちないためにできること

書類はしっかり準備する

書類の記入に不備があったり、必要書類が揃っていなかったりすると審査は進みません。準備のやりなおしをしているうちに別の人に物件を購入されてしまう、という可能性もあるため、必要な書類はしっかり準備しましょう。

住宅ローン以外の借入は返済しておく

カーローンなど住宅ローン以外の借入がある方は、返済して月々の負担額を少なくすることで住宅ローンの審査に通りやすくなります。自分がなにをローンで購入しているか再確認したうえで、繰り上げ返済できるものは早めに返済しておきましょう。

ただし、無理に返済して貯金額が少なくなってしまうと、物件購入時の頭金が少なくなり住宅ローンの審査が厳しくなってしまうこともあります。どのくらい返済すべきかなどは、不動産会社や家族と相談しながら決めていきましょう。

物件選びは資産価値を意識する

「住宅ローンの審査に通りやすい物件を選ぶ」というのもひとつの方法です。新耐震基準への適合や管理体制など、資産価値に直結する部分は重視して物件を選びましょう。

マンションの管理体制の良さは、住み心地や安心感にもつながります。ローンの審査だけでなく将来的な安心も考えて、管理体制など資産価値の面はしっかり見ておきましょう。

◆住宅ローンの審査ってどれくらいかかる?

住宅ローンの審査には、「事前審査」と「本審査」の2段階があり、本審査の方が結果が出るまでに長くかかります。

〇事前審査なら34

事前審査(仮審査)は本審査の前に行います。
事前審査の結果が出るまでにかかるのは一般的に3~4日ほど。必要書類も本審査に比べて少なく、多くの銀行では

  • 本人確認証
  • 源泉徴収票(前年分)
  • 物件の情報(不動産会社が用意することが一般的)

などを用意すれば申し込むことができます(※勤務形態などによって必要書類が増える場合もあります)。
最近ではインターネット上だけで事前審査の申し込みができる金融機関も増えています。

〇事前審査は、購入する物件が決まる前にもできる!

事前審査の際には物件の情報も必要ですが、事前審査に通ったあと、購入する物件を変更することができます。そのため、まだ購入する物件が決まっていないときでも事前審査を行うことができます。

事前審査をすることで自分が借入できる金額がハッキリするため、物件探しの第一歩として事前審査をする方も多くいらっしゃいます。

〇本審査は早くて1週間程度

ローン契約に進むための本格的な審査が「本審査」です。事前審査より厳しく審査され、結果が出るまでには最短でも1週間ほどかかります。
必要書類は銀行によって異なりますが、大きく分けると

  • 本人確認書類
  • 住民票や印鑑証明書
  • 契約書類一式
  • 収入(年収)を証明できる書類
  • 物件に関する書類(不動産会社が用意することが一般的)

になります。

事前審査と違うのは、住民票や印鑑証明書など役所に行って取得する必要がある書類を求められる点です。事前の準備が必要になるため、事前審査に通ったあとは早めに本審査の準備を進めていきましょう。

事前審査に通ったら必ず本審査も通る?

事前審査に通ったからといって、必ず本審査に通るとは限りません。本審査の段階でより詳しく条件を見られることで、審査に通らないこともあります。

また事前審査から本審査までの間に新たにローンを組んでしまったりすると、本審査に通らなくなってしまうこともあります。

 

諸費用を含めた住宅ローンは組める?

◆諸費用を含めて住宅ローンを組むことはできる!

結論からいうと、諸費用を含めた住宅ローンを組むことは可能です。しかしこの場合、住宅ローンの審査は厳しめになると思っておくと良いでしょう。

◆諸費用もローンを組む=借入額が大きくなる

マンション購入にかかる諸費用を含め住宅ローンを組むと、住宅ローンの借入総額が大きくなります。当然、借入額が大きくなると住宅ローンの審査は厳しくなっていきます。

しかし、「借入額が大きくなる」ということ以外の条件が良ければ、審査に通る可能性は十分にあります。

「借入額が大きくなる」ということ以外の条件とは、【住宅ローンの審査で見られること】で書いたような「借入する人の条件」と「物件の条件」です。これらの条件が金融機関の指定している基準を、ゆとりをもってクリアしていれば諸費用を含めたローンを組める可能性があがります。

◆最近はフルローンを扱う金融機関も多い。まずは事前審査してみよう

最近では、諸費用を含めた住宅ローン(一般的にフルローンと呼ばれます)を扱う金融機関も増えており、審査を受けられるケースが多くなっています。まずは不動産会社に相談し、事前審査を受けてみると良いでしょう。

 

リノベーション費用も含めて住宅ローンを組みたい!方法はある?

自分でリノベーションのプランを考えて、物件購入と同時にリノベーションがしたい!
こんなときに、「リノベーションの費用も含めてローンを組むことができるのかな?」と考える方も多いかと思います。

リノベーション費用と住宅ローンを同時に借りるにはいくつかのパターンがありますので、それぞれ見ていきましょう。

◆住宅ローン+リフォームローン

住宅ローンとリフォームローンを別々に組むパターンです。

〇注意点:はじめの515年ほどは返済額が大きくなるケースもある

住宅ローンの返済期間は一般的に最長35年と長めですが、リフォームローンは多くの商品が10~15年以内と短めになっています。そのため、リフォームローンの返済があるはじめの10~15年のうちは月々の返済額が高くなるケースもあります。

共働きの夫婦などで、「今から10~15年のうちにしっかりローンを返済していきたい!」という方に向いている方法です。

〇2つのローンって同時に組めるの?

2つのローンを同時に組む、となると「審査が厳しくなるのでは?」と思う方も多いと思います。しかしこの場合、先に住宅ローンを組んでそのあとにリフォームローンを組むことになるため、住宅ローンの審査にさえ通ればリフォームローンの審査は問題なく通ることがほとんどです。

住宅ローンの審査は他のローンと比べると審査基準がかなり厳しいため、まずは住宅ローンに通るための対策をしっかりしていきましょう。

◆住宅ローン+リフォーム費用は現金

ローンは住宅ローンだけ組み、リフォーム費用は現金で用意するパターンです。

〇諸費用の分の現金をリフォーム費用にする

リフォーム費用の現金をどこから用意するか、という問題になりますが、この場合現金で支払うつもりだった物件の諸費用をリフォーム費用に充てることが一般的です。つまり住宅ローンは諸費用を含めた「フルローン」になります。

自己資金(貯金)が多い方や、リフォームの費用があまりかからない方におすすめの方法です。

 ◆一体型住宅ローン

最近では金融機関が住宅ローンとリフォームローンをまとめて融資する「一体型ローン」も増えています。ローンの審査が1度で住み、住宅ローンの低金利がリフォーム費用にも適用されておトクになることもあります。

〇一体型住宅ローンは事前準備が大切

この方法を利用するには、事前の計画と準備が大切。なぜかというと、一体型ローンの申し込みの際に「リフォーム費用にはこれだけのお金がかかります」という見積書を出す必要があるためです。

〇見積書を作るには?

見積書を作るには、施工会社などに物件に入ってもらい採寸などをしてもらう必要があります。しかし物件の引き渡しが終わる前に業者を呼んでの採寸をするには、物件の持ち主(売主)の許可が必要です。持ち主が居住中の場合は採寸が難しいこともあります。

また、リフォーム施工会社の選定に時間がかかったり、何度も業者を呼んで採寸したりすると見積もりが出るまでに時間がかかってしまい、物件を別の方に購入されてしまうことも考えられます。

〇リフォーム・リノベとローン両方に詳しい不動産会社に相談しよう

一体型住宅ローンを利用する際には、中古マンションとリノベーションのことのどちらにも詳しい仲介会社と一緒に準備を進めていくと良いでしょう。

また、リノベーションの内容が複雑で凝ったものだと、なかなか見積もりが定まらないこともあります。ある程度ベーシックなリノベーションを考えている方におすすめの方法です。

 

中古マンション購入時に適用可能な住宅ローン控除について

◆住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して居住用の家を購入したときに、所得税から一定額が控除となる制度です(適用には諸条件があります)。

住宅ローン控除の利用は、まず返済期間10年以上の住宅ローンを利用することが前提となります。これを満たす場合、居住の年から10年間控除が受けられます。

ただし令和元年10月~令和2年12月までに居住を開始し、物件の消費税率が10%の場合、控除期間が3年延長され合計で13年間控除が適用されます。

◆控除額の計算方法と上限

【控除額の計算方法】

年末のローン残高 × 1%
例)年末のローン残高が2000万円の場合、その年の控除額は20万円

【控除額の上限】

控除額の上限は、物件に消費税がかかるか・かからないかによって変わります。

住宅ローン控除の控除額の上限
参考:国土交通省 すまい給付金ホームページ“住宅ローン減税鮮度の概要”より

中古マンションと消費税の関係については、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:消費税がかからない!?中古マンションと消費税のしくみ

〇控除額が所得税を超えるときは?

住宅ローン控除の控除額が所得税を超える場合、控除しきれなかった分は住民税からも控除されます。
住民税から控除される額も、物件に消費税がかかるか・かからないかによって変化します。

住宅ローン控除の住民税からの控除の上限
参考:国土交通省 すまい給付金ホームページ“住宅ローン減税鮮度の概要”より

◆住宅ローン控除を利用するための条件

住宅ローン控除を利用するためには、いくつかの条件があります。 条件には、大きく分けて「住宅ローンを借入する人の条件」と「物件の条件」の2種類があります。

〇借入(居住)する人の条件

  • 控除を受ける年分の所得金額の合計が3000万円以下であること
  • (金融機関からの)住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける各年の年末(1231日)まで引き続き住んでいること

参考:国土交通省 すまい給付金ホームページ“住宅ローン減税鮮度の概要”より

〇物件の条件

  • 自ら居住する物件であること(セカンドハウス/別荘/投資目的は適用外)
  • 専有部分の登記簿上の床面積が50平米以上であること
  • 次のいずれかに該当すること
    ①築20年以内(構造がS/RC/SRC造の耐火建築物の場合は築25年以内)である
    ②耐震基準適合証明書により耐震基準への適合が照明されている
    ③既存住宅性能評価書により耐震等級1以上が確認されている
    ④既存住宅売買瑕疵保険に加入している

参考:国土交通省 すまい給付金ホームページ“住宅ローン減税鮮度の概要”より

〇住宅ローン控除の利用は、不動産会社に相談してみよう

住宅ローン控除適用の条件のうち、物件に関する条件はインターネットなどの情報だけでは分からないことがあります。

住宅ローン控除の利用を考えているときには、まず不動産会社にそのことを伝え、適用となる物件を探してもらうと良いでしょう。

 

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監修: 濱本 恭平(宅地建物取引士・FP技能士2級)

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編集部

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