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マンション購入時はハザードマップを必ずチェックしよう!【東京版】
[不動産知識]
近年、環境の変化に伴い大型台風の発生や集中豪雨、また地震などの自然災害が増えています。こうした災害のリスクに備えた準備をする上でハザードマップを確認することは最も大切なことと言えます。これからマンションの購入をご検討の方は特に、ハザードマップの見方や活用の仕方などを確認していきましょう。
ハザードマップについて知る
(出典:千代田区HP/千代田区洪水避難地図[洪水ハザードマップ])
◆ハザードマップとは?
『ハザードマップ(hazard map=被害予測地図)』とは一般的に自然災害が発生した場合、どのような被害が想定されるかを確認できる地図のことです。国土交通省や市区町村などの地方自治体が発行しており、区域ごとにどのような危険性があるかを一目で確認できます。また、災害が発生した場合の避難経路や避難場所なども記載した「防災マップ」などもハザードマップとして扱われます。
◆ハザードマップの種類
ハザードマップには洪水・内水・高潮・土砂災害など水害に関するものの他に、地震・火災・火山などのハザードマップも存在します。津波や高潮といった類似の災害によっては、まとめて表示されているものもあります。ただ、地域によって名称が統一されていないため注意が必要です。
◆ハザードマップの閲覧・入手方法
各種類のハザードマップを自治体ごとにパンフレットなどで配布している地域もあります。役所や公民館など人が集まる場所に無料で設置してあったり、住民票を移した際に各種案内とともに渡されたりするケースもあります。
また、国土交通省のポータルサイトからも入手が可能です。サイト内では2つの検索方法にわかれており「重ねるハザードマップ」では、様々な種類のハザードマップを重ね合わせて1枚の地図で見ることができます。
(出典:ハザードマップポータルサイト)
◆東京でマンション購入時にチェックすべきハザードマップとは?
都内で発生の可能性がある災害は、洪水・内水・地震です。これら全てのハザードマップをチェックしましょう。また、奥多摩エリアなど山に近い地域の場合は土砂災害、大田区や品川区などの海沿いの地域は高潮・津波のハザードマップを併せてチェックしましょう。
また過去に合った災害を地図上に表示した「災害履歴図」も活用してください。国土交通省や各自治体のHPでも公表しています。過去の事例から「再現性」があるかどうかを判断することができます。改修工事などがしっかりとされているかどうかで、再発生のリスクが少なくなっていると考えられるのです。
(関連リンク:国土交通省「災害履歴図」)
ハザードマップの活用方法
◆ハザードマップでわかること
前述したようにハザードマップには様々な種類のものが存在します。その多くに共通して確認できることをまとめました。
・災害の危険性……そのエリアや建物にどんな危険性があるのかを示している。マップによって色は異なるが、色が濃いほど危険性が高い。
・避難先や避難ルート……学校や公民館など災害時に避難できる場所やそこまでどのようなルートで行けば良いかを検討できる。
・災害対策……浸水の被害が予測される場所には、土のうを備蓄するなどの対策をすることができる。
ハザードマップの中には、過去に起きた災害の情報や災害時の問い合わせ先の電話番号なども記載されていることがあります。パンフレットなどは防災用具と一緒に備えておくと安心です。
◆リスクを事前に把握できる
ハザードマップはリスク回避につながる有益な情報の宝庫です。災害時にどのような対応をするべきかということも示唆しています。仮に洪水のリスクがある地域ならば、1階のお部屋は避け2階以上のお部屋を探すなどの行動ができます。
◆指定緊急避難場所と指定避難場所の違い
ハザードマップには指定緊急避難場所と指定避難場所が表示されています。2011年の東日本大震災の教訓を経て、2013年に災害対策基本法が改正されました。それまでは避難場所が明確に区別されていなかったものを明確に区別しました。
指定緊急避難場所は、災害時に避難勧告が発令されたとき緊急的に避難できる場所です。(公園や学校の校庭など)
指定避難場所は、災害発生後に自宅で生活するのが困難な人たちが一時的に集まり生活するための場所です。(学校の校舎・体育館や公民館など)
◆不動産会社に説明してもらえる
マンション探しをする際、気に入ったエリアにどんなリスクがあるのか不動産会社に問い合わせてみましょう。その際にハザードマップなどを活用してそのエリアのリスクを説明してくれます。エリアの良いところだけでなく、そういったリスクもしっかりと確認して教えてれる不動産会社なら安心してお部屋探しを任せられます。
マンションを買うなら洪水・内水ハザードマップは要チェック
(出典:墨田区水害ハザードマップと海抜表示板「墨田区公式webサイト」)
◆洪水と内水氾濫の違い
洪水は、豪雨などによって河川が氾濫してしまうことです。内水氾濫とは、下水道や排水管で処理しきれなかった水が溢れて道路などを冠水させてしまうことを指します。局地的な集中豪雨などの際、土の地面が少ない都心部や市街地では雨水が地表に溜まり下水道では処理しきれなくなる可能性が高く、内水氾濫が起きやすい地域となっています。
◆マンションは「内水氾濫」に注意
内水氾濫は河川から離れた都心部でも注意が必要です。
2019年10月頃台風19号の影響により、川崎や世田谷区エリアにおいて内水氾濫が発生しました。普段なら雨水を下水道から多摩川に排水する仕組みなのですが、当時は多摩川の水位が氾濫危険水位まで上昇したため、下水道から逆流してしまったことが原因と考えられています。
武蔵小杉駅周辺には多くのタワーマンションが建設されており、被害を受けた住人も多く存在しました。地下にある発電機などが浸水してしまったことにより、エレベーターが停止してしまったりや排水ポンプが動かず部屋のトイレなど使えないといった被害が発生しました。
◆洪水・内水氾濫の被害を避けるためのポイント
洪水や内水氾濫の被害を避けるためには、しっかりとハザードマップを確認しておくことと、マンションが建っている土地の性質を調べておきましょう。内水氾濫ハザードマップなども市区町村によっては作成している自治体もあります。国土交通省のホームページでは、土地の成り立ちを調べることができるので活用しましょう。
過去に起きた浸水被害などの記録も調べておくと、その後の対策なども一緒に知ることができるため要チェックです。
地震ハザードマップも忘れずに
(出典:渋谷区地震防災マップ「渋谷区公式サイト」)
◆マンションにおける地震の脅威
首都直下型地震や南海トラフ地震など今後大型の地震が発生するという予測がされています。どれほどの規模の地震となるか正確に判断できるわけではないため、いくらマンションが耐震基準に適合していたり免震構造のマンションであったりしても絶対的な安心はできません。東京都内でも、建物自体は崩れなかったとしてもライフラインの断絶や通信・交通網のマヒなど様々な被害が予測されます。どうしたら被害に合わないかではなく、少しでも被害を受ける影響を少なくするかと考え行動するのが賢明です。
◆地震の被害を避けるためのポイント
いつどんなときに起こるかわからない地震。その被害を避けるためのポイントをまとめました。
- point1:新耐震基準に適合したマンションを購入する
- point2:建築確認申請の受理日から新旧を確認できる
- point3:耐震・免震・制震などマンション自体の耐震構造もチェック
昭和56年6月1日以降に建築基準法が改正され、新耐震基準が定められました。マンションが何年に建築されたかは、ポータルサイトなどでも確認できますが、正確な日付を知りたいときは建築確認申請の受理日を不動産会社に問い合わせることで確認できます。
耐震の他にもマンションには免震構造・制振構造などマンション自体の構造が異なるので、購入前に確認しましょう。
(関連記事:『中古マンションの耐震基準ってどうなの?見分け方と選び方』)
◆日本は地震大国
日本の歴史をたどれば、関東大震災・阪神淡路大震災・東日本大震災など日本は大規模地震が発生しています。前述した南海トラフ地震も今後30年の間に7割~8割の可能性で起こると言われています。東京のみならず日本で暮らしている限り、地震の被害を受ける可能性があるということを日頃から意識して防災対策を心がけましょう。
まとめ
ハザードマップは、常に同じものというわけではなく年を追うごとにアップグレードしていきます。年に1度は確認をすると良いでしょう。
また、ハザードマップで危険なエリアと表示されていない地域でも絶対に安全というわけではありません。その逆で危険なエリアと表示されていても絶対に被害にあうとも限らないということを念頭に置いておいてください。
危険性を確認して、自然災害が起こる前のシミュレーションと対策を実施することがハザードマップの正しい活用方法です。いつどんなときに起こるかわからない災害の被害をできる限り最小限に留めるためには、日々の心がけが大切です。