やさしく解説!中古マンション購入の流れと注意点

【宅地建物取引士監修】中古マンション購入の流れと注意

[不動産知識]

中古マンション購入の流れを順番にそって分かりやすく解説。現役の不動産営業スタッフだから分かる「購入にあたっての心構えと注意点」も紹介しています。契約の流れや、資産価値を決めるポイントなど気になることを丸ごと解決!

人生で一番大きなお買い物ともいえる「マイホーム」。大きなお金がうごくため必要な手続きも多く、混乱してしまう方も多いかと思います。中古マンション購入の流れを、イチからおさらいしていきましょう。

目次

中古マンション購入の流れ

〇ひとめで分かる!購入の流れフローチャート

中古マンションの購入は、一般的に以下のような流れで行われます。

中古マンションの購入の流れフローチャート

では、それぞれについて詳しくみていきましょう。

①資金計画

「中古マンションを買おうかな」と考えたとき、一番はじめにするべきことは資金計画を立てることです。

住宅ローンを利用する場合、物件を購入したあと10年~35年ほどかけて毎月ローンの支払いをしていくことになります。今の自分の収入と支払いのバランスから、いくらくらいの家を買うかを考えていくことが大切です。

◆月々の居住費は、月収の25%以内が目安

一般的に、月々のローンの支払いが月収の総額の25%以内であれば無理なく支払えるとされています。では、年収450万円のケースを例に、資金計画を立てていきましょう。

年収450万円の場合、単純に計算すると月収は450万円÷12か月=375,000円です。375,000円の25%は、93,750円。月々の支払が、93,000円~94,000円ほどであれば、無理なく支払いができそうです。

金融機関や金利にもよりますが、上記の金額で借入期間35年の住宅ローンを利用すると、およそ3,000万円の借入が可能です。この金額が購入する物件の価格の目安になってきます。

資金計画について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:後悔しない中古マンション選びのポイントまとめ

◆リフォーム・リノベーションするなら資金計画と同時にプラン立てて

中古マンションを購入し、自分でプランを考えてリノベーションやリフォームをする場合、施工(工事)の内容も資金計画と同時に考えておくとスムーズです。

資金計画を立て、購入できる物件の価格が3,000万円だとします。その後自分の理想の住まいをつくるためのプランを決めていきましょう。プランとは、お部屋の間取りをどうするのか、部屋の数や大きさ、水回りの形など様々です。そのプランがおおよそ定まったら、その施工にかかる金額を算出します。

リフォームやリノベーションにかかるおおよその費用について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:リノベーションとは?リフォームとの違いや手順について

やりたい施工にかかる費用が仮に400万円だったとすると、3,000万円-400万円=2,600万円が、購入できる物件価格の目安となります。

②物件の情報あつめ

購入する物件のおおよその金額がみえたら、実際に物件の情報を集めていきます。現在はインターネット上に物件の情報がたくさん掲載されているため、ネット上で物件探しをする人が多くなっています

◆希望する条件はまとめておこう

インターネット上で物件探しをする際、まずは欲しいお部屋の条件をまとめておくと良いでしょう。たとえば今ペットを飼っている人などは「ペット可のマンション」がゆずれない条件となってくるでしょう。そのほか日当たりや間取りなどこだわりの条件を3つほどピックアップしておくと、お部屋を選びやすくなります。

◆条件に優先順位をつけておこう

条件に優先順位をつけておくと良い物件に出会いやすくなります。たとえば、「駅から近ければ少し狭くてもよい」のか、「駅から少し離れても広い家がよい」のかなどを整理しておくことで候補にあがる物件が増え、より希望にあったお部屋が見つかります。

◆不動産会社に探してもらうのもひとつの方法

とはいえ、マンションの情報がたくさんありすぎて分からなくなってしまうことも多いのが実際のところ。そんなときには不動産会社の営業スタッフに希望の条件を伝えて、希望にあう物件を探してもらうのもひとつの方法です。

「物件や不動産会社は選びは、どう探したらいいの?」とお悩みなら、こちらの記事を参考にしてださい。

関連記事:中古マンションの賢い探し方

④お部屋の見学(内見・内覧)

気になる物件が見つかれば、見学(内見・内覧ともいいます)に行くことになります。インターネットなどで情報を見つけた際には、その情報を掲載している不動産会社に問い合わせればスムーズでしょう。また、すでに不動産会社の営業スタッフとやりとりがある場合には、そのスタッフに気になった物件を伝えれば内見ができます。

◆内見はいつできる?

内見ができる日時はその物件により異なるため注意が必要です。物件が空室の場合は比較的早く、最短で当日に内見ができることもあります。

ただし居住中の場合は、現在住んでいる方の都合もあるため数日後になることが一般的です。内見の日時については不動産会社と打ち合わせることになりますが、スケジュールの調整は不動産会社が行ってくれます。希望の日時を複数伝えておくとスムーズに調整できるため、時間にゆとりをもって予定を組みましょう。

③住宅ローンの事前審査

内見をしはじめるのと同時にローンの事前審査を行い、早めに「承認通知」を得ておくとよいでしょう。

◆住宅ローンの事前審査をはやめに行っておくといい理由

住宅ローンを借りられる金額は、年収や勤務先、ローンの残債などによって一人ひとり違います。そのため、せっかく気に入ったお部屋があってもローンの借入できる金額が物件価格に届かなければ、また最初から物件探しを始めなくてはなりません。

また、住宅を買いたい!という意思を住宅の持ち主(売主)に伝えるためには、ローンの事前審査の「承認通知」が必要になります。承認がおりるまでには平均で3~4日ほどかかるため、この間に別の人が購入の意思を売主に伝えてしまうと、物件が買えなくなってしまうことがあるため注意してください。

⑤購入申込み

内見し、気に入った物件が見つかれば購入申込書を書き、物件の持ち主(売主)に購入の意思を伝えます。購入申込書を売主が受け取り、売主がそれを承諾すれば契約の段取りに進むこととなります。

大きな買い物となるため購入申込みにためらうことも多いと思いますが、中古マンションにはひとつとして同じ商品がありません。そのため、購入申し込みをためらっているうちに、別の人に先に購入されてしまうこともあります。不動産会社のスタッフが「できる限り早めに購入申し込みをしたほうがいい」というのはこのような理由があるからです。

⑥契約(不動産売買契約)

購入申込書を書き、順調に進めばその日から2~3日ほどで契約(不動産売買契約)となります。

契約の時に行われることは、主に

  • 重要事項の説明
  • 「不動産売買契約書」などの契約書の説明
  • 手付金のやり取り

です。

◆重要事項の説明

契約の前に、物件の状況などの重要事項が説明されます。分からないことや不安なことがあれば、このときに質問しておきましょう。

◆契約の流れ

重要事項の説明を聞き、特に問題がなければそのまま契約に進みます。契約では、「不動産売買契約書」などの契約書が読み上げられます。

◆手付金のやりとり

売主に手付金を支払います。手付金とは購入の意思を示すための内金であり、物件価格の5%ほどが相場とされています。またこのとき、売主から物件に関する説明がある場合があります。

⑦ローンの本審査

住宅ローンを利用する場合、売買契約のあとにローンの本申込を行います。

申し込むと各金融機関で本審査が始まります。順調に進んだ場合でも承認までには1~2週間かかり、書類の不備などがあると1か月近くかかってしまうこともあります。必要書類などはしっかりと確認しておきましょう。

⑧ローン契約(金銭消費賃借契約)

ローンの承認を受けたあとは、ローン契約(金銭消費賃借契約)にて借入する金額や借入期間、金利などローンの条件を決めていきます。金融機関にて行われ、実印や印鑑証明、住民票などの必要なものをもって金融機関に行くことになります。

ローンの契約時に融資の実行日(借入金額が一度銀行口座に振り込まれる日)も決定します。通常は契約日から3~4日後に融資が実行されます。

⑨残金の決済・登記

融資の実行が可能になれば、決済(残金決済)に進みます。残金とは、物件の購入金額から契約時に支払った手付金をのぞいたお金のこと。ローンを借りる金融機関にて、銀行員や司法書士、売主などが集まり手続きが進められます。融資金額が一度自分の口座に振り込まれ、そのあとすぐに売主の口座へ入ります。決済が完了した時点で、はじめて物件が自分のものとなります。

◆登記について

物件の所有者が変わったことなどを記録する登記も、ここから進めていくことになります。登記の手続きは司法書士に依頼することが一般的です。

◆リフォーム・リノベーションの工事は決済が終わってから

お部屋のリフォームやリノベーションをする場合は、決済が終わってから工事に着手します。工事が終わってからでないと引っ越すことは難しいため、事前にリフォーム・リノベーションのプランを考えておくことが大切です。

⑩引っ越し

以上のことが終われば、お引越しとなります。

 

中古マンションを選ぶときのポイント

〇資産価値って大事なの?

近年、購入したお部屋に一生住み続けるという人は少なくなってきています。家族構成やライフスタイルに合わせて、購入したお部屋を売り、売ったお金で次のお部屋を買う「住み替え」を行う人が多いのです。

この住み替えを考えたときに、売ったらいくらになるのかという資産価値が大切になってきます。

◆シングル・DINKSや資産価値重視、ファミリーは住環境とのバランスを取るのがおすすめ

物件を選ぶときに資産価値をどのくらい気にするのかは、その人の今後の人生設計によって変わってきます。

今シングルやDINKSで将来住替える可能性が高いのであれば、資産価値はとても大切になってきます。

反対に、長く住むことを想定しているファミリーであれば住環境など自分のこだわりを重視することも大切です。しかしファミリーであっても今後、子供が大きくなり独り立ちするなどの環境の変化によって住替える可能性は考えられるため、資産価値はある程度気にしておくと良いでしょう。

〇資産価値を決めるポイント

①立地

立地の価値は、駅からの距離、物件の周りの環境、コンビニやスーパーは近くにあるかなど、さまざまなポイントによって決められます。

特に、シングルやDINKS向けの物件(専有面積60平米以下)の場合は、駅からの距離がとても大切になってきます。反対に、ファミリー向け(専有面積60平米以上)であれば、周りに公園があるかなどの住環境も重要視されます。

②マンション全体の状態

◆築年数と耐震基準

マンションの築年数も大切ですが、さらに大切なのが耐震基準です。

近年はこの新耐震基準に適合するかどうかが建物の価値を決める大きな基準のひとつとなっており、銀行によっては新耐震基準に満たない物件の購入時には住宅ローンを利用できないこともあるため注意が必要です。購入を考えているマンションの耐震適合については、よく確認することをおすすめします。

新耐震基準適合の確認方法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:中古マンションの耐震ってどうなの?見分け方と選び方

◆修繕(共有部分の工事)の状況

修繕については「今までの修繕の履歴」と「これからの修繕の計画」どちらも重要視されます。これからの修繕の計画については、修繕積立金がいくら蓄えられているか、長期的な修繕計画が立っているかなども確認しましょう。

〇内見時のチェックポイント~専有部分~

  • 内装のデザインや雰囲気
  • キッチンやお風呂、トイレなどの設備
  • 水を出したときの水圧(水を出して良い物件の場合)
  • 日当たり、バルコニーからの眺望
  • 近隣の音(騒音がしないかどうか)

このうち、以外と見落としがちなのが水圧です。古いマンションだと給水管などの状況から水圧が弱いことが多いのですが、このことに入居後に気づくパターンが多くあります。水を出すことが禁止されていなければ、水圧も確認しておくと安心です。

〇内見時のチェックポイント~共有部分~

  • ゴミ捨て場など共有部の状態
  • 外からバルコニーを見たときの様子
  • すれ違う住人の雰囲気や家族構成

ゴミ捨て場や、バルコニーの状態を見ることで住人の様子や管理体制を知ることができます。また、バルコニーに洗濯物が干されている場合、住んでいる人の家族構成なども分かることがあります。内見時には物件のまわりをぐるりと一周するのもおすすめです。

〇不動産会社に聞いてみよう

目で見ただけでは分からない情報もあります。以下のようなことは不動産会社にたずねてみましょう。

  • 共有部の修繕の記録、今後の修繕の予定
  • 過去にお部屋であったこと(事故物件ではないか、など)
  • 過去にマンション内の別のお部屋がいくらくらいで売れたのか

同じマンション内のお部屋の売却価格は、そのマンションの価格の相場をつかむ基準になります。不動産会社でないと調べることが難しい情報となるため、たずねてみるとよいでしょう。

〇ホームインスペクションを利用するという方法もある!

購入しようとしているマンションの価値に不安がある場合、ホームインスペクション(住宅診断)を利用するのもひとつの方法です。ホームインスペクションとは、ホームインスペクター(住宅診断士)と呼ばれる専門家が、第三者の立場から物件の状況や価値についてアドバイスするサービスです。

相場として5~6万円ほど必要になりますが、数千万円の高いお買い物をしたあとに後悔しないために利用する人も増えています。

また、最近では物件を売るときに不動産会社がホームインスペクションを依頼し、診断書を取得していることもあります。

ホームインスペクションのイメージ

 

中古マンション購入時の心構えや注意点

〇資金計画はしっかり

繰り返しになりますが、中古マンションを購入するときに一番大切なことは無理のない資金計画です。

無理して借入できるギリギリの金額まで借りてしまうと、毎月の支払いに追われることとなります。せっかくマイホームを買っても、支払いのために追い詰められた生活を送り、家族との時間や趣味の時間を大切にできないようでは本末転倒です。

無理に理想を求めすぎた高い家を買うよりも妥協点を決めて、自分の生活を大切にしつつ支払いができる金額のお部屋を選んでください。

〇不動産会社を何社も渡り歩くのはおすすめしない

マンションを購入するときに、何件もの不動産会社とやりとりをすることはあまりおすすめできません。なぜなら、売りに出されているお部屋そのものはどの不動産会社に紹介されたとしても同じものだからです。コンビニや量販店などをイメージすると分かりやすいかと思います。

中古マンション選びでは、自分の希望にあった物件に出会うことが大切です。そのためには何件もの不動産会社を渡り歩くより、1人の営業スタッフと信頼関係を築くことが一番の近道となります。自分の希望やこだわりに共感してくれるような相性の良い営業スタッフと出会ったときには、その人に物件探しをお願いしてみましょう。早く良い物件に出会える可能性が高くなります。

弊社でも多くの営業スタッフが、お客様の理想とする住まい探しのお手伝いをしています。インタビュー記事を公開していますので、ぜひご覧ください。

〇自分の意思を大切にしよう

物件を購入し住む人、つまり自分自身の意見や希望を大切にすることを忘れないようにしましょう。

物件を購入するときには、ご両親や友人に相談することもあるかと思います。相談すると物件のマイナスな点を指摘され、決心が揺らいでしまうことも少なくありません。しかし、悪いところがひとつもない物件はないのです。資金の上限もある中でお部屋を選び、一番あなたの条件に合うお部屋があなたが住むべき物件であるはずです。客観的な意見を聞くことも大切ですが、最後には自分の意思を一番に優先するようにしてください。

 

監修:堀口俊雄(宅地建物取引士)

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