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中古マンションと築年数の関係。ベストな購入のタイミングとは?
[不動産知識]
中古マンションを選ぶときに気になってくるのが「築年数」。「築年数が古いマンションって大丈夫なの?」「でも新しいマンションは高いし…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?この記事では、築浅マンション・築古マンションそれぞれのメリットとデメリットをご紹介!築20年以上の中古マンションがオススメの理由や、築古マンションでも住宅ローンは組めるの?という疑問にもお答えします。
目次
- 1.「築古」・「築浅」それぞれのメリットとデメリット
- 2.購入におすすめは築20年以上。売却におすすめは10年後
- ・マンションの価格の下落は築後20~25年まで続く
- ・築20~25年以内なら耐震面でも安心
- ・中古マンションの売却におすすめの時期
- 3.中古マンションの築年数、限度は築何年?
- ・マンションの寿命は何年?
- ・コンクリートの耐久性は100年以上とも
- ・大切なのはマンションの管理体制
- 4.築古物件でも住宅ローンは借りられるの?
- ・築年数より、新耐震基準に適合しているかどうかが重要
- ・住宅ローンを組むのが難しいことも
- ・住宅ローン控除の利用にも関係する!?
- 5.中古マンションの選び方のコツ
〇マンションの築浅・築古とは
マンションなどの建物について「築浅」「築古」という言葉を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか?
建築してからまだ年数が経っていない建物を「築浅」、ある程度年数が経った建物を「築古」と呼びます。しかし築後何年から築古と呼ぶかなど、明確な定義は決まっていません。
この記事では、築浅=築10年以内、築古=築25年以上を基準として記載していきます。
「築古」・「築浅」それぞれのメリットとデメリット
〇築古のメリット
■価格が安い
マンションの価格は、建物の老朽化にともなって建築時から下落していきます。
そのため新築や築浅の物件と比べると、価格が安くなっています。
■資産性の安定
不動産流通標準情報システム(通称:REINS)を運営する公益財団法人東日本不動産流通機構が発表したデータによると、中古マンションの築年数別の物件の平均価格は以下のグラフのようになっています。
参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2015年)」より
上記のグラフを見ると、物件の価格は新築時から築後25年まで下がり続け、そのあとは横ばいになるということが分かります。
つまり、築後25年以降であれば価格の下落があまりなく、購入金額と売却金額に差が少ないということになります。資産価値として安定しているのは築古の物件といえます。
■良い場所に建っている
人が住み続けているということは、「そのマンションは良い場所に建っている」ということでもあります。
現在、駅前などの好立地にはすでに建物が建っていることがほとんど。好立地であれば土地の値段も高く、さらに今ある建物を取り壊して新しく建てるとなると莫大な費用がかかります。そのため、新しいマンションは良い場所に建ちにくくなってきています。
■ヴィンテージ感がある
たくさんの人が住み続けたり、建物が築何年か経過していたりすると、新しいマンションにはないヴィンテージ感が出てきます。
外観のデザインなどにも建築当時の個性が出ており、最近の建築ではなかなか見かけないようなデザインのマンションもあります。そうしたマンションの中でも、管理体制が良いものは「ヴィンテージマンション」と呼ばれています。
人気のヴィンテージマンションである秀和シリーズの「秀和椎名町レジデンス」。1971年築と築古のマンションですが、今でも人気を集めています。
関連記事:『中古マンションのブランドを一挙にご紹介!ブランドでマンションを選ぶメリットとは?』
〇築古のデメリット
■躯体や配管の老朽化
築年数が経過するにしたがって、マンションの躯体(骨組み)や配管は古くなっていきます。定期的な修繕工事をすることで老朽化を食い止めることはできますが、新築時のままというわけにはいきません。
水漏れなどの配管トラブルや、水圧が弱いといった不具合は築浅よりも発生しやすいでしょう。
■耐震面での不安
建物の建築技術は日々進歩しており、耐震性をはじめとした安全面では新しく建てられたマンションのほうが優れているといえます。
特に昭和56年以前に建てられたマンションは現行の耐震基準に適合していないことも多く、地震の際の安全性では劣ってしまいます。
■今までに住んでいた人が多い
築年数が経過しているということは、今までに居住者が多いということになります。
そのため、事故物件と呼ばれるような「告知事項のある物件」の可能性が、築浅の物件よりも高くなっていきます。
〇築浅のメリット
■躯体や配管が新しい
築古の物件に比べると躯体や配管が新築時に近い状態です。躯体や配管の劣化にともなうトラブルは、築古の物件より起こりにくいといえるでしょう。
■共有設備が整っている
新しいマンションであれば、共用部に最新の共用設備が整っていることも多いです。
築浅の物件であればオートロックなどのセキュリティシステムは高い確率で設置されており、ノンタッチキーなど利便性の高い設備があることも。荷物の受け取りに便利な宅配ボックスも築浅の物件であれば置いてあることが多いでしょう。
■室内も新しいので、リフォーム・リノベーションの費用がかからない
共用部だけでなく専有部分(お部屋の中)ももちろん新しいため、リフォームやリノベーションの費用があまりかからないというメリットもあります。綺麗に使われた築浅の物件であれば、室内をクリーニングするだけで居住することも可能です。
〇築浅のデメリット
■価格が高い
一般に、新しいマンションであればあるほど価格は高い傾向にあります。築25年ほどで価格の下落が落ち着くため、築10年ほどでは下落する前とも言えます。
購入におすすめは築20年以上。売却におすすめは10年後
〇マンションの価格の下落は築後20~25年まで続く
購入金額と資産価値の面から考えると、築20年ほどの建物がねらい目であるといわれています。
築20~25年ほどで価格の下落が落ち着きます。そのため、一番安いところまで下がった物件のうち一番新しいものが築20~25年ほどの物件といえます。詳しくは前述の、【築古のメリット■資産性の安定】をご覧ください。
また築25年以降は価格の下落が少ないため、売却したときに購入時とあまり変わらない価格で売却ができます。立地や管理などの条件が良ければ、購入時より高く売れることもあります。
〇築20~25年以内なら耐震面でも安心
耐震性についても築20~25年ほどであれば安心できます。
新耐震基準と呼ばれる現行の耐震基準は昭和56年6月1日に施行されたもの。この日よりあとに建築の許可が下りた物件は新耐震基準に適合したマンションといえます。
建築の許可がおりた日と建築年月日は違いますが、築後20年~25年以内であればほぼ間違いなく新耐震基準に適合しているといえます。
〇中古マンションの売却におすすめのタイミング
購入におすすめのマンションの築年数は20年ほどのもの。しかし、売却におすすめの築年数というのはありません。
では、なにを基準にマンションの売却時期を考えると良いのでしょうか?答えは、マンションを購入してからの期間です。
■目安①購入から5年以上
不動産を売却したときに利益(売却額から購入時の費用を引いて残った額)が発生すると、その利益に所得税や住民税がかかります。
このとき、不動産の所有期間が「5年以下」の場合と「5年超」の場合で、税率が違います。
所有期間5年以下の場合と5年超の場合とでは、19.315%も税率に差があります。
仮に、不動産売却時の利益が100万円だったとして計算してみましょう。
所有期間5年の場合、100万円×39.63%=396,300円、約40万円が課税されます。
所有期間5年超であれば、100万円×203,150円、約20万円の課税です。
このように所有期間の違いで2倍近くも税金に差が生まれ、この差は売却時の利益額が高いほど大きくなります。
■目安②購入から10年以上
物件や購入者の条件にもよりますが、住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、購入後10年間は住宅ローン控除を受けることができます。住宅ローン控除では所得税から一定額が控除されます。
控除額は物件の条件やローンの返済状況によって変動しますが、最大であれば10年間で400万円の控除を受けられます。10年間で最大の控除を受け切ってから不動産を売却した方がお得だといえるでしょう
■売却は購入から10年よりあとがおすすめ
上記の2点により、不動産の売却は購入から10年後以降がおすすめです。早く売れば良いとも限らないのです。
中古マンションの築年数、限度は築何年?
〇マンションの寿命は何年?
国税庁では、税務上の減価償却年数(特定の資産について、経年による価値の減少分を費用化する基準)を定めています。マンションの一般的な構造である鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物については以下の通りです。
しかしこの「47年」という数値はあくまで税務上の基準であり、耐久年数の限界とは異なります。
〇コンクリートの耐久性は100年以上とも
コンクリートの耐久年数自体は100年以上とも言われています。もちろん人が住み毎日風や雨にさらされるため100年確実に耐えられるとはいえません。
しかし、管理次第では築47年以降も使用でき、築50年以上経過していますが居住されているマンションも多く存在します。
〇大切なのはマンションの管理体制
マンションの耐久性を決めるのは、築年数よりも管理体制であるといえます。新しいマンションでも管理をしなければ老朽化が進み、逆に適切な管理をすれば築年数が経過しても良い状態を保てます。
マンションの寿命は管理体制次第のため、購入時には管理体制を良く確認するようにしてください。
築古物件でも住宅ローンは借りられるの?
〇築年数より、新耐震基準に適合しているかどうかが重要
住宅ローンの審査は、主にローンを組む人の条件(収入・年齢など)と、物件の条件の2つを見て行われます。
建物の条件に大きく関わるのは、「築年数が何年か」ということよりも「新耐震基準に適合しているか」という点です。
〇住宅ローンを組むのが難しいことも
金融機関は客観的に判断した物件の価値(担保評価額)に見合った金額でしか、住宅ローンを貸しません。この判断には、「マンションが新耐震基準に適合しているかどうか」が大きくかかわってきます。そのため新耐震基準に適合していないと住宅ローンの審査が厳しくなります。
もちろん「新耐震基準に適合していないと住宅ローンを組めない」というわけではありません。しかし、購入費用の全額を住宅ローンでまかなおうとしたときは、物件の担保評価額が足りないことも考えられます。
また、今後さらに耐震基準に適合しているかどうかが重視されるようになると予想されています。
〇住宅ローン控除の利用にも関係する!?
新耐震基準への適合は、住宅ローン控除を受けられるかどうかという点にも関係しています。
住宅ローン控除を受けるには、物件が——
①築20年以内(構造がS/RC/SRC造の耐火建築物の場合は築25年以内)であること
②新耐震基準に適合していることが書類により証明されていること
③(新耐震基準に適合しない場合)取得の日までに耐震改修工事の申請などをし、かつ居住の日までに新耐震基準に適合していることが書類により証明されていること
のどれかを満たしている必要があります。新耐震基準に適合していれば確実に②に当てはまるので、ローン控除を受けられる可能性が高まります。
住宅ローン控除を受けるためには、その他にも諸条件を満たしている必要があります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:『中古マンションの住宅ローン:審査基準と落ちないコツ』
〇新耐震基準への適合について、詳しくはお問い合わせを
新耐震基準に適合しているかどうかは、建築年月日だけでは分かりません。確実なことを知りたい場合は、不動産会社に問い合わせて聞いてみると良いでしょう。
中古マンションの選び方のコツ
ここまで、築年数を軸に中古マンションの選び方などについて解説しました。
築年数は中古マンションの価値を決める条件のひとつであり、資産価値の面からみても見過ごせないポイントです。
中古マンションを選ぶポイントは築年数以外にも立地やアクセスの良さ、広さなどさまざまな条件があります。中古マンションの選び方について、詳しくはこちらの記事で解説しています。ぜひ物件選びの参考にしてみてください。
参考記事:後悔しない中古マンション選びのポイントまとめ