中古マンション購入の諸費用と節約のポイント

中古マンション購入の諸費用と節約のポイント

[ライフプラン]

中古マンションの購入には、物件の価格以外にもさまざまな費用が必要となります。マンションの購入はただでさえ大きなお買い物なのに、そこにさらに費用がかかるとなると「どのくらいかかるの?」「いつまでに支払うの?」と不安になってしまう方も多いはず。そこでこの記事では、諸費用の金額の目安を支払う時期に分けて解説していきます。

目次

諸費用の金額の目安と支払う時期について

〇中古マンション購入の流れ

中古マンションを購入しようとお部屋探しをはじめ、見学をかさねて気に入った物件が見つかると、購入申込書を書いて購入の意思を示すことになります。購入申込書が順調に受け取られると、そのあと物件の所有権を移すために契約や決済といった手続きをすることになります。

中古マンション購入の流れフローチャート

不動産は高額なお買い物であり、公的な証明や登録が必要です。そのため、登録などにかかる費用や税金、また手続きをお願いする相手に支払う報酬など、さまざまなお金が必要になっていきます。そのような物件価格以外のお金が、まとめて「諸費用」と呼ばれています。

〇金額の目安

中古マンション購入時の諸費用は、物件の価格の5~8%が一般的です。

たとえば3000万円のお部屋を購入する場合、諸費用はおよそ150~240万円となります。金額に幅があるのは、現金で購入するのか・住宅ローンを利用するのかによって諸費用の金額が異なる為です。

〇諸費用の種類と支払い期限

諸費用は、主に以下の3回のタイミングで支払う必要があります。

中古マンション購入にかかる諸費用

※手付金について

手付金とは購入意思の証拠として先に支払う内金です。

金額は一般的に物件価格の4~5%とされています。物件価格の一部であり、仮に3000万円の物件を購入した場合、手付金の5%である150万円を支払うと、契約のあとに物件価格として支払うのは2850万円ということになります。

契約書の内容にもよりますが、一般的に買主から契約後に購入をキャンセルした場合、手付金は没収となります。売主から契約をキャンセルした場合は手付金を返却+手付金と同額を支払う必要があります。買主・売主ともに平等な内容で、自分から契約後にキャンセルすると損をする仕組みになっており、これは互いに取引が簡単にキャンセルされるのを防ぐためのものです。

手付金は前もって現金で用意する必要があるため、早めに準備を進めておきましょう。

 

必要な諸費用の金額はどのくらい?

では、実際に物件価格3000万円の中古マンションを購入した場合の諸費用をみていきましょう。

◇契約時

契約時の諸費用

▪売買契約印紙税

契約書に印紙税分の印紙を貼る必要があり、そのための費用です。不動産売買の際の印紙代金は一般的に10,000~30,000円ですが、物件価格によって異なります。

売買契約印紙税は以下の基準で決められています。

契約金額 本則税率 軽減税率(※)
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え 5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円

国税庁ホームページ “不動産売買契約書の印紙税軽減措置”より抜粋

※軽減税率について
中古マンションの購入の場合、一般的に軽減税率の金額が適用されます。
(条件:契約書に記載される契約金額が10万円以上、かつ、契約書の作成が平成26年4月1日から平成32年3月31日までに行われること。)

+α 印紙税とは?

印紙税法により、契約書などの文書に対して課税される税金です。このあと「〇〇印紙税」という費用が数種類出てきますが、それらはすべて印紙税法により定められている税金となります。

▪仲介手数料

不動産会社に、物件の紹介やその他業務の報酬として支払う費用です。取引金額が400万円を超える場合、物件価格×3%+6万円とその消費税が仲介手数料となることが一般的です。宅地建物取引業法により不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料には上限が設けられており、これを越えて請求されることはありません。

※仲介手数料の支払い時期について

仲介手数料を支払う時期については不動産会社やその他状況によって変わってきます。一般的には契約時に仲介手数料の半額を支払い、決済時に残り半額を支払うことが多いです。しかし契約時ではなく決済時に100%支払う場合もあります。仲介手数料を支払うタイミングについては、不動産会社にたずねてみると良いでしょう。

 

◇決済時

決済時にかかる諸費用は、住宅ローンを利用するかどうかによって異なります。

〇共通でかかる費用

契約時に共通でかかる諸費用

▪登録免許税

土地や建物の登記にかかる費用です。建物や土地の購入・建設などを行ったときにはその所有者をはっきりさせるために登記の手続きをする必要があります。
物件価格ではなく、不動産の価額(固定資産税評価証明書に記載)によって金額が決まります。不動産の価額は立地や築年数などさまざまな条件によって決定されます。また税率も変更される場合があるため注意が必要です。

▪司法書士報酬

登記の手続きは一般的に司法書士に依頼します。司法書士はその他にも抵当権の設定などの業務を行っており、その報酬として支払うのが司法書士報酬となります。
登録免許税と司法書士報酬を合わせて、登記費用(登記の手続きに必要な費用)と呼ぶことが一般的です。

▪火災保険料

火災や自然災害などで家(建物)が被害にあったときに、被害を補償する制度です。加入は必須ではありませんが、火事などで家が燃えてしまいローンの支払いだけが残った、というような事態を避けるためにも、保険に加入するのが一般的です。

保険の対象は契約のときに選ぶことができ、家(建物)だけを保険と対象とするのか、家の中のもの(家財)も含めるのかなどを選ぶことができます。火災保険料は、保険会社や保険の対象、加入年数などによって変わってきます。

〇住宅ローン利用時にかかる費用

▪住宅ローン契約印紙税

金融機関の住宅ローンを利用する場合、金銭消費賃借契約書(住宅ローン契約書)が作成されます。契約書に印紙税分の印紙を貼る必要があり、そのための費用となります。印紙代は融資額によって変わります。

▪融資事務手数料

金融機関の住宅ローンを利用するときに、金融機関に支払う手数料です。金額は金融機関によって異なり、また手数料の形態が「定額型(ローンの借入金額にかからず一定)」か「定率型(ローンの借入金額によって変動する)」かによっても変わってきます。

▪銀行保証料

住宅ローンを利用する際、保証会社に保証人になってもらうための手数料です。保証料の金額は金融機関やローンの借入金額、返済期間などによって異なります。最近では保証料を不要としている金融機関があるほか、保証料のかからない住宅ローンなどもあります。

▪団体信用生命保険料(一般)

団体信用生命保険(通称:一般団信)は、住宅ローン返済中の契約者が死亡/もしくは所定の高度障害状態になってしまったときに、保険金により残りの住宅ローンが清算される制度です。民間銀行で住宅ローンを利用する場合には一般団信への加入が必須となっていますが、この場合の保険料は銀行が負担するため支払う必要はありません。

ただし、「フラット35」を利用した場合には加入が任意となっており、この場合加入に必要な費用は自分で支払う必要があります。

決済までに必要な諸費用と頭金をまとめると、物件価格が3000万円の場合はおよそ350~400万円。物件そのものの価格の12~14%は現金で必要になることが一般的です。

 

◇入居したあと

入居後の諸費用

▪引っ越し費用

引っ越し費用は荷物の量や引っ越す時期、引っ越し業者によって異なります。

▪家具や家電などの買い足し費用(エアコン、カーテンなど)

以前の住まいで使っていたものをどのくらい使用するかによって異なります。しかし家の広さや間取り、内装が変わると家具や家電が合わなくなることもあるため、余裕を持っておくとよいでしょう。

引っ越し前に確認しておくと良いのは、エアコンとカーテンの設置場所です。特にエアコンは、室内・室外(主にバルコニー)どちらも設置場所を確認しておきましょう。エアコンの機種によってはサイズが合わずに設置できないことがあります。

▪不動産取得税

購入や建築により不動産を取得したときには、不動産取得税という税金がかかります。不動産を取得してから4か月~1年半ほどの間に、1度だけ支払う必要があります。登記の有無は関係ありません。

一般的に、物件価格が3000万円ほどであれば不動産取得税は約30万円以下といわれています。しかし金額は物件の価額によって異なり、購入時の金額から計算することはできません。正確な金額が知りたい場合は税務署にお問合せください。

また物件の条件によって不動産取得税が軽減されることがあります。詳しくは以下の「〇不動産取得税の減税制度を利用する」の項目をご覧ください。

▪固定資産税

土地や家屋など「固定資産」とされるものを所有している場合にかかる税金です。毎年4~6月に納税通知書が届きます。記載されている金額を、年4回(※)に分けて支払う必要があります。

※固定資産税の支払い期限
第1期:6月
第2期間:9月
第3期間:12月
第4期間:2月

▪管理費や修繕積立金など

住宅ローンの支払いや、管理費・修繕積立金などが毎月かかる費用となります。

諸費用を節約する3つのポイント

〇銀行保証料を抑える

諸費用の中でも多くを占める銀行保証料ですが、これを減らす方法がいくつかあります。ひとつ目はローンを借りる銀行を選ぶこと。銀行によって保証料は異なり、保証料が必要ではないところもあります。ただし、銀行によっては保証料が安いぶん事務手数料が高くなっていたりするため、注意が必要です。

ふたつ目は、ローンを借入する金額を減らすことです。銀行保証料はいくつかの事項によって決まりますが、そのうちの主なものがローンの借入金額です。とはいえ購入する物件が決まっている以上、物件価格は下げることができません。そのためローンの借入金額を減らすには、購入時に現金で支払う頭金を多くすることになります。現金で用意できるお金がある場合は、頭金を多く払っておくことで銀行保証料を抑えることができます。

〇火災保険を見直す

火災保険は保険会社や補償内容によって料金が異なるため、会社や内容をよく選べば価格を抑えることが可能です。いくつかの保険を比較し、自分に必要な保障のみを選び最適な価格のものをえらびましょう。

また保険に加入する期間は選択できるため、加入年数を短くすれば保険代は減らすことができます。しかし、長期で入る保険のほうが1年あたりの料金は安くなることがほとんど。長い目で見たときの安心とお得を選ぶのか、今すぐ払う金額を減らすのかは現在の資金の状況とあわせて考えるようにしましょう。

〇不動産取得税の減税制度を利用する

入居後に支払う不動産取得税ですが、この税金には減税制度があります。減税制度が適用される物件の場合「45,000円」または「(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×{課税床面積×2(200㎡限度)}× 3%」のどちらか高い方が控除されます。

税金が軽減されるのは、以下の条件すべてを満たす場合です。

①買主の居住用、またはセカンドハウス用であること

②床面積(課税床面積)が50㎡以上240㎡以下であること。

③新耐震基準に適合するマンションであること

このうち、分かりにくいのは③の新耐震基準適合のところかと思います。昭和56年6月以降に建築の許可が下りている(建築確認がとれている)建物が新耐震基準に適合するとされています。建築年月日(築年数)では判断できません。新耐震基準については、不動産会社に問い合わせてみると確実な答えが聞けるでしょう。

諸条件にもよりますが、基準に適合している場合不動産取得税が0円となる(すべて控除となる)場合もあります。入居後の費用を抑えたい場合は、不動産取得税の軽減制度に適合するような物件を探すのもひとつの方法です。

この記事を書いた人

編集部

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