消費税がかからない!?中古マンションと消費税のしくみ

[ライフプラン]

中古マンションには「消費税がかかるもの」と「消費税がかからないもの」があるって、ご存じでしたか?この記事では、消費税が「かかる」か「かからない」かを見分けるポイントを解説!また「住宅ローン控除」など消費税の負担を軽減する制度についても説明していきます。中古マンションの税金に関するお悩みをこの記事で解決しましょう!※2019年8月30日 追記・修正しました。

目次

中古マンションと消費税の仕組み

〇中古マンションと消費税の関係

ものを購入するときに必ずかかってくる「消費税」。しかし、この記事をお読みの方の中には「中古マンションは消費税がかからない」ということを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、中古マンションには「消費税がかかるもの」と「消費税がかからないもの」があります。これは、中古マンションの売主が「事業者」か「事業者ではない」かによって決められます。消費税とはそもそも”事業者が提供するもの”にかけられる税金であるため、このような違いが出てくるのです。

〇物件の売主によって異なる!

中古マンションの消費税は、以下のとおりに課税されるか課税されないかが決まります。

・売主(一般的に物件の持ち主)が個人の場合→消費税なし

・売主(一般的に物件の持ち主)が事業者(主に法人)の場合→消費税あり

ではなぜ売主が個人の場合と事業者の場合があるのでしょうか。

中古マンションを以前に誰かが購入して住んでいた場合、その期間物件は個人、主に住んでいた人のものであることが一般的です。その居住者が家を売りたいと思ったとき、自分で所有したまま次に住む人(買い手)を探す(不動産会社には販売のための広告などの活動を依頼する)パターンと、不動産会社に売るパターンがあります。

不動産売却の仕組み売主が個人の場合

不動産売却の仕組み売主が事業者の場合

ひとつ目の場合は売主が個人のままですが、ふたつ目のパターンだと売主が事業者(この場合は不動産会社)となります。しかし、どちらの場合も中古マンションとして売りに出されるため、物件によって消費税の有無がちがうのです。

〇消費税の有無を見分ける方法は?

消費税の有無は物件の売主によってちがうため、その物件の売主が個人か事業者かを確認できれば消費税の有無が分かります。

インターネット上などで、物件の情報のところに「取引態様」という欄がある場合があります。

東京リノベーションストアでは、「詳細情報」の欄に記載があります

取引態様の欄に書いてある言葉が「代理」「仲介」「媒介」などの場合は、売主が個人である可能性があります。

また「取引態様」の欄が見つからない場合は以下の方法でも分かることがあります。

・新しくリノベーション/リフォームをしている場合→売主が事業者である可能性が高い

・物件の状況が「居住中」の場合→売主が個人である可能性が高い

ただし、物件によっては例外となるようなものもあり、上記のような見分け方で消費税の有無が確実に分かるわけではありません。消費税の有無が物件の情報から読み取れない場合は、その情報を掲載している不動産会社に問い合わせて聞いてみるとよいでしょう。

ちなみに、インターネット上などで掲載されている物件の価格は税込表示であることが一般的とされています。

 

『住宅ローン控除』と『住まい給付金』とは?

〇消費税がかかる物件は、税金の控除や給付金を受けられることがある

このようにみていくと、「消費税のかからない物件のほうがお得に買える!」と思う方も多いと思います。しかし、消費税のかかる物件を購入したときには、減税制度などが受けられるケースが多くあります。詳しくみていきましょう。

※本記事で記載されている内容は、2019年8月時点のものです。控除内容などは変更される場合があるため、現在の内容を確認するようにしてください

〇『住宅ローン控除』について

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して居住用の家を購入したときに、規定の条件を満たすと所得税から一定額が控除となる制度です。住宅ローン控除自体は物件への消費税の課税/非課税に関わらず利用できますが、消費税がかかる物件を購入したときのほうが控除される額の上限は大きくなります。

住宅ローン控除の利用は、まず返済期間10年以上の住宅ローンを利用することが前提となります。これを満たす場合、居住の年から10年間控除が受けられます。控除額は、年末の時点での住宅ローン残高に応じて決定されます。また、所得税から控除しきれない(控除額が、所得税の額を越えてしまう)場合には、住民税からも控除されます。

※2019年8月30日 追記
消費税の増税に伴い控除の適用となる年数が変更されました。
令和元年10月~令和2年12月までに居住を開始し、物件の消費税率が10%の場合、控除期間が3年延長され合計で13年間控除が適用されます。

【控除額の計算方法】

年末のローン残高 × 1%

(例)年末のローン残高が2000万円の場合、その年の控除額は20万円
※ただし、控除が適用となる年末のローン残高の上限は、物件の課税/非課税により異なる

非課税の物件の場合、10年間での最大控除額は200万円(各年20万円)ですが、課税の物件の場合は10年間で最大400万円(各年40万円)が控除されます。

非課税
(諸費税率5%が適用される場合)
課税
(消費税率8%)
控除が適用となる
年末のローン残高の上限
2000万円 4000万円
各年の控除限度額 20万円 40万円
10年間の最大控除額 200万円 400万円

国土交通省 すまい給付金ホームページ“住宅ローン減税鮮度の概要”より
※平成33年12月までの適用

※2019年8月30日 追記
住宅ローン控除の期間が13年間の場合、11年目~13年目は
・住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限4,000万円)のうちいずれか少ない方の金額の1%
・建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3
のうち、どちらか少ないほうが所得税などより控除されます。
国土交通省 すまい給付金ホームページ“住宅ローン減税鮮度の概要”より

また、住民税からの控除上限も非課税の物件が1年で9.75万円であるのに対し、課税の物件であれば1年で13.65万円です。
この金額は所得税から控除しきれなかった場合に住民税から控除されるものであるため、上記の最大控除額に上乗せして控除されるわけではない点に注意してください。
では、どのような条件を満たせば住宅ローン控除が利用できるのでしょうか。購入(居住)する人の条件と、購入する物件の条件に分けてみていきましょう。控除を受けるには、以下の条件すべてを満たしている必要があります。

■購入(居住)する人の条件

住宅ローン減税制度利用の要件

 

・控除を受ける年分の所得金額の合計が3000万円以下であること

・(金融機関からの)住宅ローンの返済期間が10年以上であること

・取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける各年の年末(12月31日)まで引き続き住んでいること

・居住した年とその前後2年ずつの合計5年間に、長期譲渡取得の課税の特例などを受けていないこと

 

参考:国土交通省すまい給付金サイト”住宅ローン減税制度利用の要件

■購入する物件の条件(中古マンションの場合)

対象住宅

 

・次のいずれかに当てはまること
①築20年以内(構造がS/RC/SRC造の耐火建築物の場合は築25年以内)であること
②新耐震基準に適合していることが書類により証明されていること(※1)
③(新耐震基準に適合しない場合)取得の日までに耐震改修工事の申請などをし、かつ居住の日までに新耐震基準に適合していることが書類により証明されていること

・専有部分の登記簿上の床面積が50平米以上であること(※2)

・上記のうち1/2以上の部分が(購入者の)居住用であること

参考:国土交通省すまい給付金サイト”住宅ローン減税制度の概要

※1 中古マンションと新耐震基準の関係について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:中古マンションの耐震ってどうなの?見分け方と選び方

※2 専有部分の面積について物件の情報として書かれている床面積より、実際に登記されている床面積が小さい場合があります。インターネットなどに載っているお部屋の床面積は壁芯(壁の中心から図ったもの)で計算されていることが多いためです。
壁芯面積と登記簿面積の違い
登記簿上の床面積については不動産会社にたずねてみましょう。

中古マンションの住宅ローンについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
関連記事:中古マンションの住宅ローン 審査の基準と落ちないコツ

〇『住まい給付金』について

住まい給付金とは、引き上げ後の消費税が適用される住宅を取得する場合、消費税による負担を軽減するために一定額を給付する制度です。給付金の額は、申請する人の収入額によって変わってきます。

平成26年から実施されており、平成33年12月まで実施される予定です。平成33年12月以降に同様の制度が利用できるかどうか現在は不明です。

また、住まい給付金は期間中(平成26年4月から平成33年12月まで)に1度だけ受け取ることができます。1度給付金を受け取った場合、その後期間中に物件を購入し諸条件を満たしていても、もう一度受け取ることはできません。

住まい給付金を受け取れる条件に「売主が宅地建物取引業者であること」というものがあります。宅地建物取引業者は事業者にあたるため、これに当てはまる場合はその物件は消費税の課税対象となります。そのため、住まい給付金は消費税がかかる物件を購入したときに利用できる制度とされています。

給付額は、以下の表のうち当てはまる欄の給付基礎額をもとに決まります。

住まい給付金の給付基礎金

国土交通省 すまい給付金ホームページ“給付基礎額と都道府県民税の所得割額”より抜粋

※収入額の目安は、夫婦(妻は収入なし)および中学生以下の子どもが2人いるモデル世帯において、住宅取得する場合の夫の収入の目安です

住まい給付金の受け取りには、以下の条件を満たしている必要があります。

■購入(居住)する人の条件

すまい給付金の対象者

 

・住宅の所有者であり、居住していること

・収入額の目安が550万円以下であること(消費税率が10%に引き上げられた以降は750万円以下)

・(住宅ローンを利用しない場合)年齢が50歳以上であること

 

参考:国土交通省 すまい給付金サイト”すまい給付金について

■購入する物件の条件(中古マンションの場合)

給付対象となる住宅の要件

 

・売主が宅地建物取引業者であること

・専有部分の登記簿上の床面積が50平米以上であること

・次のいずれかに該当すること

①既存住宅売買瑕疵保険に加入した住宅であること(※1)

②既存住宅性能制度を利用した住宅であること(耐震等級1以上の建物に限る)(※2)

③建築後10年以内であり、住宅瑕疵担保責任保険に加入しているまたは建設住宅性能表示を利用していること(※2)

 

参考:国土交通省 すまい給付金サイト”すまい給付金とは

 

※1 既存住宅売買瑕疵保険について
既存住宅売買瑕疵保険に加入するには、購入する人が費用を負担する必要があります。費用の相場は8~10万円ほどとされています。

※2 既存住宅性能制度や建築住宅性能表示について
「既存住宅性能制度」や「建築住宅性能表示」などは、どれも第三者(国土交通省の登録した機関など)が現場検査を行い、一定の品質が確認された場合に認定されるものです。住まい給付金の受け取りを希望する場合、認定を受けているかどうか不動産会社に確認してもらうとよいでしょう。

〇大切なのは購入全体にかかる費用

このように、消費税が課税となる物件を購入した場合、その課税分の負担を軽減するためのさまざまな控除制度が利用できます。

仮に物件価格が3000万円だった場合、消費税は3000万円×8%=240万円ですが、住宅ローン控除と住まい給付金を最大限に利用できた場合は430万円(400万円控除、30万円の給付金)が戻ってくることになります。非課税の物件で住宅ローン控除を最大の200万円利用した場合と比べても、230万円は多く戻ってくることになります。

結果として非課税の物件を購入したときと必要な費用はあまり変わらないため、物件を「非課税か課税か」だけで選ぶ必要はあまりありません。控除制度の条件などはしっかりと確認しておき、うまく利用していきましょう。

〇消費税の額から土地代と建物代を算出する方法とは?

建物の購入には消費税がかかりますが、土地の購入には消費税がかかりません。そのため、中古マンション購入時にかかっている消費税は、すべて建物そのものの価格にかかっている消費税ということになります。購入時にかかった消費税の額が分かれば、その不動産の購入にかかった土地代と建物代を算出することができます。

たとえば、3000万円で物件を購入し、このうち200万円が消費税だった場合。200万円を消費税率の8%で割ることで、建物そのものの価格を出すことができます。この場合は200万円÷8%=2500万円。購入金額の3000万円から建物価格2500万円と消費税200万円をのぞいた300万円が土地代ということになります。

一戸建ての場合は、建物が建っている土地全体を購入することになるため、土地代というのが気になるところになってきます。しかし中古マンションの場合、マンション全体の土地を、各住戸の持ち主が専有面積の広さを基準に分割して所有することになります。そのため、購入時に土地代がいくらかはそこまで気にする必要はないでしょう。

 

購入に必要な諸費用にも消費税はかかる?

〇諸費用には必ず消費税がかかる

中古マンション購入時には、物件の価格のほかにさまざま諸費用がかかります。諸費用の金額は、一般的に物件価格の5~8%とされています。

中古マンションとは異なり、この諸費用にはすべて消費税がかかります。消費税とは「事業者が提供するモノやサービス」にかけられる税金であり、諸費用はすべてこの条件に当てはまるためです。

仮に物件価格が3000万円だとすると、諸費用は300万円×5~8%=150~240万円。諸費用にかかる消費税は、150~240万円×消費税率8%=12~19万円ほどとなるでしょう。

諸費用にかかる消費税を減らすためには、諸費用そのものを抑える必要があります。諸費用の内容と節約のしかたについては、以下の記事でくわしく解説しています。ご参考ください。
参考記事:中古マンション購入の諸費用と節約のポイント

 

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編集部

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